トラム終始点を歩く~筲箕湾~

古い歴史の中に生活観があふれる庶民の街、筲箕湾をのんびり散歩してみましょう!

こんにちは! 香港ナビです。車庫行きをのぞくと、筲箕湾(Shau Kei Wan) 、北角(North Point)、跑馬地(Happy Valley)、西港城(Western Market)、堅尼地城(Kennedy Town)と5つの終始点をもつトラム。その終始点周辺にはどんなものがあるのかな? トラムで香港の街を行く番外編として、その周辺をご紹介したいと思います。今回トコトコとトラムで訪れたのは、トラム終始点のいちばん東、筲箕湾です。「観光」とはちょっと縁遠い街だけれど、活気ある庶民の生活が垣間見られるエリアです。古くから漁村として栄えた街を、トラムのようにゆるりとした足取りで歩いてみましょう!

歴史ある街、筲箕湾

筲箕湾は、香港島の中でも古くから集落があったところとして知られています。その歴史は清朝のころにさかのぼるとか。海に接していることから漁村として栄え、「筲箕」という名前は、船を着ける湾の形が「筲箕」とよばれる漁師が使う竹でできたザルに似ていることから付けられました。残念ながら、埋め立てが進んでしまった現在ではそのザルの形を見ることはできませんが、博物館などで古い地図や写真を見る機会があったら確認してみてくださいね。
トラム駅裏には、こんな案内ボードがありました。ちゃんと日本語も併記されている上、見どころもカメラのマークで表示されています。ガイドブックにはほとんど紹介されていない場所だけに、こうした地図で大体の位置をあらかじめ確認できると街歩きも安心ですね。
また、交差点などには目的地がどちらの方向にあるかの表示もちゃんと出ていますので、途方にくれるほど道に迷う…なんて心配はないですよ!
筲箕湾には、MTR港島線の駅、香港各所へ向かうバスターミナルもあります。行きはトラムでのんびりと、帰りは目的地まで他の手段でピューッと移動なんてこともできますよ。

では、街歩きを始めましょう~!

金華街(Kam Wa Street)
トラム駅から西に伸びる大きな道へ進む人が大勢います。金華街(Kam Wa Street)というこの道には、生鮮食料品や日用品などの露天がずらりと並んだマーケットがあるのです。なかでも野菜類は新鮮で安いと、近くの西湾河(Sai Wan Ho)や太古(Tai Koo)などからトラムで買い物にくるおばあちゃんたちもたくさんいます。ちなみに65歳以上の方はトラム運賃は1香港ドルです。安くて新鮮なものが買えるところへ1ドルで行けるとあらば、の~んびりトラム旅で買出しに行きますよね。旅行者の方は野菜などを買うわけには行かないと思いますが、雑多でにぎやかな雰囲気を味わうだけでも楽しいと思います。

筲箕湾東大街(Shau Kei Wan Main Street East)
もと来た道をトラム駅へと戻り、そこから南へ伸びる筲箕湾東大街(Shau Kei Wan Main Street East)を進んでみましょう。この中心地ともいえる大通りには商店がずらりと並び、また歴史のある街だけにさまざまな神様を奉った「廟」と呼ばれる寺院が点在しています。熱心にお参りするひとの邪魔にならないように見学しながら、そのほかの見どころも合わせてのんびりと散歩してみましょう。
城惶廟
トラム駅の目の前にある廟です。1877年にこの地に建立され、城隍土地、五通神、十王という神様が奉られています。簡単に言ってしまうと、土地を守り、その土地の繁栄をつかさどる道教の神様たちといったところです。小さな廟ですが、中にはお線香がたくさん捧げられていて、お参りする人の熱心さがうかがえます。グレーのレンガ壁に赤い飾りが印象的なです。
天后古廟
にぎやかな道をのんびり歩くと、右側に天后古廟が現れました。「天后」とは海の守護女神を奉ってあり、航海の安全や漁の成功を祈る人たちが訪れます。海のそばの街には必ずといっていいほど天后廟があり、身近な廟といえるでしょう。筲箕湾の天后廟も、塔香とよばれる渦巻状の大きなお線香がたくさん下げられ、その煙でぼんやりとした廟内では漁に携わる人たちが祈りを捧げていました。
天后廟にまで連なる行列の先にあるのは、香港の麺の具としておなじみの魚蛋(フィッシュボール)の名店、安利です。香港全土からその自家製魚蛋を目当てにした人が押しかけ、いつでも行列ができています。目の前に新店舗をオープンしましたがその混雑はかわらず。待つのが嫌でなければ、プリプリの魚蛋をぜひ味わってみてください。

安利大排档
住所:東大街57號
57, Shau Kei Wan Main Street East, Shau Kei Wan
Tel:2567-7122
営業時間:7:00~20:00

巴色差會崇真堂
1847年にスイスからやってきた宣教師が、中国大陸から南下してやってきた漢民族である客家人たちへ布教活動をはじめました。その活動の拠点として1924年にこの教会は建設され、地元の人たちの信仰の地として親しまれてきました。1941年には、幼稚園、小学校、中学校を併設し、現在は教育の場としても地域と強く結びついています。日曜日午前11時からのミサは誰でも参加することができます。
道の真ん中には、こんな大木がありました。あえて木を避けて道を作るくらいですから、名木のだろうと近づくと、保護樹木であるプレートが付いていました。小さなイチジクのような身をつける大葉榕です。筲箕湾の人々の暮らしを、古くからこの地で見つめてきたのでしょうね。
筲箕湾東大街が途切れたら、すぐ右手にある東旺道(Tung Wong Road)を入り、まっすぐ阿公岩村道(Akung Ngam Village Road)へと進んでみましょう。

皇母娘娘を奉る廟
道教の神様のひとり玉皇天帝の妻である、皇母娘娘を奉った小さな廟がこんもりと盛り土をした上にありました。この廟は、廟としての名前はなく、地図にも見どころの案内ボードにも表示がありません。ひっそりと高いところにたたずむ神様は、女性として尊敬される、聖母のような存在なのだそうです。皇母娘娘の誕生日である旧暦8月8日には、ささやかなお祭りが開かれます。

玉皇殿
路地にぽつんとたたずむ玉皇殿は、上記の皇母娘娘の夫である玉皇天帝を奉っています。道教の思想では、家庭のかまどに宿る神が年に一度天に昇り、その家庭の所業を報告するといわれていました。その所業を裁き、人の寿命を決める役割をになったのが玉皇天帝です。天帝の裁きひとつで生命の長さが変わることから、民間人にとって恐れられる存在でありつつ、信仰を集める存在でもあるそうです。
古董電扇博物館
玉皇殿のすぐ横に、不思議な博物館を発見しました。完全予約制、予約の入っていないときはオープンしないという博物館です。オーナーの鐘さんが個人的に集めた400台あまりのアンティーク扇風機を展示しています。フレームやファンの形などに少しずつこだわりと特徴の表れた扇風機を、たくさん見比べる機械はあまりないですよね。興味のある方は、問い合わせをしてみてください。鐘さんは博物館のすぐそばで働いているそうで、「見たければすぐに開けてあげるよ!」とおっしゃっていました。

住所:筲箕湾阿公岩村道168號
168 Akung Ngam Village Road, Shau Kei Wan
Tel:2967-9921
入場料:無料
東喜道(Tung Hei Road)に突き当たったら地下道で渡り海側の道へいってみましょう。
譚公仙聖廟
1905年にこの地に建立され、当時は信仰の場としてだけではなく、学校や村の議会などの場としても使用されていました。100年以上の歴史を経て、今なお深く地域に溶け込んでいるこの譚公廟は、天后と同じく、海の守護神として漁にかかわる人々が引きもきらず参拝しています。この廟では、譚公の誕生日でもある旧暦4月8日に、譚公誕という海の安全を願うお祭りが催されます。ドラゴンダンスや華やかな旗の下、大人から子供まで参加して街を練り歩くにぎやかで楽しいお祭りです。

筲箕湾魚類批發市場
港のすぐ横に作られた市場は、香港島内最大の魚市場となっています。新鮮な魚が、選別され箱詰めされると、つぎつぎと乗りつけれられるトラックへ運び込まれます。取材時は午後だったので、ひと気もまばらでしたが、朝早い時間には、いきの良い魚と人が行き交うにぎやかな雰囲気が楽しめるでしょう。トラックや市場専用車の往来が激しいので充分ご注意ください。

香港海防博物館
香港ナビでもご紹介している香港海防博物館は、明の時代から日本軍の占領期、イギリス統治時代など、香港600年の海防史を保存し、展示しています。19世紀にイギリス軍が作った要塞をそのまま利用した展示室や、第二次世界大戦時の銃創がそのまま残る露営設備や魚雷発射ステーションなど、膨大な展示物がリアルに歴史を物語っています。
小さなエリアにギュギュッと地元色が密集したような筲箕湾の街は、大きな街の喧騒を離れて「普段着の香港」をのぞいてみたいときにおすすめです。銅鑼湾(Causeway Bay)から約30分。のんびりトラムにゆられて、窓の外に洗濯物がたなびいている建物の下、広東語が響き渡る筲箕湾に行ってみてくださいね。以上、筲箕湾の魅力を再確認した、香港ナビがお伝えしました!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-02-08

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