香港内の移動にとても便利な香港の地下鉄「MTR」。初めて利用する方のために、MTRの使い方を徹底的にガイドします!
ネイホウ!香港ナビです。香港にはバス、フェリー、トラムなどさまざまな種類の乗り物がありますが、初心者でも使いやすく、安全で便利な交通機関は何と言っても地下鉄「MTR」です。料金が安く、朝早くから夜遅くまで運行しているのに加えて、何と言っても本数の多さと渋滞知らずなのが魅力!さらにこの便利さに加え、近年では利用者の立場にたったきめ細かいニーズとサービスもますます充実してきています。
今回は初めてMTRを利用する人でも安心して利用できるように、MTRの使い方を徹底的にガイドします!
●MTR路線
MTRは2015年2月現在、以下の10路線と新界の元朗、屯門エリアを走る軽鉄で営業を行なっています。旧KCR路線は、ほかの路線とホームの構造、車両、切符の種類などが異なります。この記事では、旧KCR(九広鉄路公司)路線以外(東鉄線、西鉄線、馬鞍山線、軽鉄)の、観光客がよく利用するメイン路線について説明しています。
■東鉄線(旧KCR) ※路線図内の水色のライン
2007年にMTRに統合された旧KCR(九廣鉄路)路線。ホンハム駅と中国国境の羅湖駅をつなぎます。途中、沙田競馬場や中文大学、郊外の住宅地を通ります。
■観塘線(クントン線) ※路線図内の緑色のライン
油麻地から調景嶺まで九龍半島を東西につなぐライン。黄太仙や九龍湾など九龍の下町エリアを通ります。現在、路線延長工事中で、将来的には何文田駅、黄埔駅が新設されます。
■荃湾線(チュンワン線) ※路線図内の赤色のライン
香港島の中環から九龍の荃湾を九龍半島を西北につなぐライン。尖沙咀、佐敦、旺角、深水埗など観光客に人気の繁華街を通ります。
■港島線(アイランド線) ※路線図内の青色のライン
堅尼地城から柴湾まで香港島を東西につなぐライン。中環、湾仔、銅鑼湾、北角などを通り、観光客の利用率の高い路線です。堅尼地城と上環の間にある西営盤駅は2015年にオープン予定です。
■東涌線(トンチョン線) ※路線図内のオレンジ色のライン
エアポートエクスプレスと平行して走る路線。香港駅とゴンピン360やアウトレットモールで有名な東涌駅をつなぎます。空港には乗り入れていないので注意。始発駅の香港駅と中環駅は構内で繋がっています。
■將軍澳線(チョンクァンオー線) ※路線図内の薄紫のライン
港島線の北角と郊外の住宅地である將軍澳エリアをつなぐライン。分線の康城(ロハスパーク)駅へは交互運行です。
■西鉄線(旧KCR) ※路線図内の紫のライン
ホンハムと郊外の住宅地、屯門をつなぐライン。B級グルメで有名な元朗へのアクセスに便利。また尖沙咀駅と尖東駅は構内で繋がっています。
■馬鞍山線(旧KCR) ※路線図内の茶色のライン
郊外の住宅地、烏溪沙と大圍をつなぐ比較的新しいライン。車公廟に行く場合はこのラインを利用してください。
■迪士尼線(ディズニーランドリゾート線) ※路線図内のピンク色のライン
東涌線の欣澳駅と迪士尼駅をつなぐディズニーランリゾート行きのド専用ライン。ディズニーのキャラクターが描かれたをモチーフにした特別車両が走っています。
■機場快線(エアポートエクスプレス) ※路線図内の青緑色のライン
中環の香港駅と香港国際空港をつなぐ空港行きの電車。一部の航空会社では、香港駅と九龍駅でインタウンチェックインが可能(エアポートエクスプレス利用者のみ)です。また始発駅の香港駅と中環駅は構内で繋がっています。
●駅の探し方
駅の入り口は大きく、またロゴマークも目立つように表示されているので、比較的簡単に見つけることができます。特に観光客がよく利用する九龍側の尖沙咀~旺角駅は彌敦道(ネイザン・ロード)沿い、香港島の中環~銅鑼湾駅は遮打道(チャターロード)と軒尼詩道(ヘネシーロード)といったメインストリートに面しています。さらに駅周辺には、駅に行くための標識も数多く設置されているほか、主な道路には周辺地図も要所要所に置かれているので、万一迷った場合には参考にしてください。
●チケットの買い方
まずはチケットを買ってみましょう。券売機は大きく、タッチパネル式でたいへんわかりやすくなっています。チケット区分の「成人」は12歳以上64歳まで、「特恵」は3歳以上11歳以下の子どもと65歳以上。学生割引を利用したい場合は専用のオクトパスカードを申請する必要があり、販売機では買えません。
■チケットの買い方(1枚の場合)
■チケットの買い方(複数枚数の場合)
●オクトパスカード(八達通卡)
MTRを含め、バス、トラム、フェリーなど公共の交通機関をよく使うという人は、空港に到着した時にオクトパスカード(八達通卡)を買っておくと便利です。旅行者用にエアポートエクスプレスの乗車券やテーマパークの割引入場券がセットになったお得なパスもあります。またオクトパスは半永久的に使用でき(長期間不使用の場合は再有効化が必要)、MTRの割引もあるので将来的に香港に来る人は1枚持っておくと便利かもしれません。不要になった場合は、払い戻しも可能です。
●改札の通り方
◆◇◆ スマートチケットの場合 ◆◇◆
■改札の入り方
■改札の出方
▲注意: 一部オクトパス専用の改札があります。その場合はスマートチケットでは出られませんので、チケット用の改札を利用してください。
◆◇◆ オクトパスの場合 ◆◇◆
改札に入るときも、出るときも、このオクトパスリーダーにかざして「ピッ!」と音がしたらOKです。もちろんブルーのステッカーが貼ってあるスマートチケット用改札も利用することができます。改札を出る際は、運賃、オクトパスカードの残高がカードリーダー上にある画面に表示されます。
●電車の乗り方
乗る前に停車駅を確認しておきましょう。
ホームに降りたら電車を待ちましょう。ほとんどの駅では、線路とホームの間はガラス壁で仕切られており、電車が到着すると自動でドアが開くシステムです。MTRには快速や特急はなく、すべて各駅停車。一部の郊外路線、旧KCR路線を除いて、電車の行き先も始発駅、終着駅の二つだけなので、正しいホームにいる限り、乗り間違えることはありません。なお、主な路線では電車の接近を知らせる音楽やアナウンスはなく、電光掲示板に次の電車の接近情報が表示されるだけです。
行き先はわかりやすく表示されています。
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スクリーンドアが設置されているので安心。
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●運行時間、時刻表
時刻表はありませんが、始発と終電の時間は駅入り口に表示されています。
日本の地下鉄にはあって、香港のMTRにはないものは何でしょう?答えは、時刻表。決まっているのは始発と終電の時間のみです。運行頻度は路線と時間帯により異なりますが、港島線やチュン湾線は終日2~5分間隔で運行しており、電車はどんどんやってくるので時刻表がなくても不便は感じません。にも関わらず、毎度、闘牛のように閉まるドアに突っ込んでくる、せっかちな香港人です。またほとんどの路線の終電は、夜中の12時半過ぎくらいまで。なお、中秋節や大晦日、特別な祝祭日には一部の路線で24時間運行になります。
●車内の様子、アナウンス
車内はとても無機質で、どこか近未来の宇宙船のような内装です。イスはステンレス製で日本のようなクッションはありません。車両の連結部分にドアはなく、直線を走っているときには車内の端から端まで見渡せるという、なんとも開放的な作りです。非常に明るく清潔で、夜間に女性一人での利用も安心。車内アナウンスは広東語、英語、北京語で流れ、ドアの上には現在地が点灯する路線図があるので、観光客でも降り間違えることはありません。
車両を仕切るドアはありません
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車内には路線図があり、現在地が点灯します
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●香港人の乗車マナー
日本と比べると香港の車内は自由奔放。走行中でも地上と同じように通話もネット接続もでき、優先席付近であっても携帯電話の通話はOKです。また車内は原則的に飲食禁止ですが、守っている人はあまりいないようです。
車両中央は空いているのにドア付近はいつも人であふれており、降りる人がいてもドア付近を強硬にブロック。もし降りる駅でドア付近の人が道をあけてくれないときは、「エクスキューズミー」と言いながら出口に向かいましょう。しかし、お年寄りや妊婦さん、小さな子どもには優しい香港人。席が必要な人が乗って来ると、優先座席でなくても、誰かが素早く席を譲る光景をいつも目にします。
●MTR構内の施設
■カスタマーサービスカウンター
カスタマーサービスカウンターでは、各種切符の販売、乗り越し精算などを取り扱っています。オクトパスカードの購入、返却はこの窓口で行なっているほか、1日フリーパスやノベルティグッズなども販売していることもあります。英語、広東語、北京語が可能です。
■無料Wi-Fiスポットおよび無料PC
すべてのMTR駅で無料Wi-Fiサービスを提供しています。ただし駅構内(改札を入った後)で、このマークのある場所に限ります。1回の利用は15分で、1日に利用できる回数は5回まです。パスワードなどは不要です。
また一部駅(香港、中環、金鐘、湾仔、銅鑼湾、旺角、太子など)には無料で使用できるPCも設置しています。こちらも1回に使用できる時間および1日の利用回数は同じです。
使用に制限はあるものの、無料でWiFiが利用できるのはうれしい限り。
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一部の駅では無料のPCも設置されています。
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■エスカレーター
香港のエスカレーターの速度は日本に比べて早く、小さな子供やお年寄りと一緒に乗るときには注意が必要です。エスカレーターに並んで道を塞ぐのは香港でもマナー違反、止まる場合は右側に立ち、歩く人のために左側をあけましょう。関西と同じスタイルです。
■エレベーター
ほぼ全駅に地上~構内、構内~ホームにエレベーターが設置されています。大きなスーツケースやベビーカーがある場合や、お年寄りにはとても便利。ただし、香港人は若い人でも気にすることなくエレベーターを利用する人が多いので、混みあっていることが多いようです。
■トイレ
旧KCR路線やごく一部の駅には公衆トイレがありますが、基本的にMTRにトイレはないと考えましょう。ただし、駅員さんにお願いすれば関係者用トイレを利用させてもらえます。
駅構内にある「コントロールセンター」には、写真のようにトイレを使用したい人用の呼び出しボタンがあります。見つからない場合は、近くの駅員さんかカスタマーサービスカウンターにお願いしてみましょう。
■周辺案内図
駅構内には、周辺の案内図のほか、主な建物やホテル、有名な観光スポット、利用できる乗り物などが詳しく書かれています。また各出口の案内表示も写真入りでわかりやすく説明されているので、地上に出る前にしっかり確認してくおくと迷うことはありませんよ。
■MTR駅構内のお店
地下鉄の駅構内にはお店がたくさん。日本のようなキオスクはありませんが、セブンイレブンやサークルKなどのコンビニエンスストアをはじめ、銀行のATM(主に恒生銀行、中国銀行)、ケーキショップ、ベーカリーショップ、ブティックなど、実にバラエティ豊か。また駅によって入っている店舗は異なります。しかしながら、地下鉄の尖沙咀駅と尖東駅や香港駅と中環駅をつなぐ地下道に少しお店が並んでいるほかは、日本のような駅と駅をつなぐ大きな地下街はありません。
●公式MTRアプリ
今回の記事で紹介した内容のほとんどを網羅したMTRの公式アプリ。中国語と英語表記ですが、旅行前にダウンロードしておくと、いざというときにとても役に立つかもしれませんよ。もちろん無料!
いかがでしたか?
香港内の主要エリアを網羅するMTR。どこに行くにも便利な足となること間違いなし。さらにローカルの人だけでなく、観光客向けのサービスも充実しているので旅行者にとってもうれしい限り。香港滞在中に賢く使いこなして、ぜひとも有意義な旅行にしてくださいね。
以上、香港ナビがお伝えいたしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2015-02-23