香港の基礎知識

香港ってどんな街?中国と何が違うの?香港旅行の前にぜひ知っておきたい香港の基礎知識をご紹介します。

名称と区旗

香港の正式名称は「中華人民共和国香港特別行政区」です。このような特別な呼び方をされているのは、1842年から1997年までの間、イギリスの植民地とされていた歴史的事実から、1997年に中国に返還されたものの、完全に中国として機能できるまでには時間が必要とされていることからです。一国二制度という姿勢が執られているわけです。各国に一つ存在する国旗。香港の場合、正式には区旗と呼ばれます。香港の街中でも見られるバウヒニアという花を白色で描き、その周りは赤色で囲まれています。これは一国二制度を象徴する色とされています。
香港の区旗            

香港の区旗            

金紫荊廣場(Golden Bauhinia Square)

金紫荊廣場(Golden Bauhinia Square)

面積

香港島と九龍半島、その他235ほどの島を含めて、香港特別行政区と呼ばれています。香港全体の土地面積は1104キロ平方メートルで、およそ12%にあたる香港島の一部と九龍を中心に人々が居住しています。
香港の典型的な住宅      

香港の典型的な住宅      

限られた土地に住宅がひしめき合っています

限られた土地に住宅がひしめき合っています

人口

香港の人口は700万人ほど。最も人口数が多いのは中国人(華人)で、全体の95%を占めています。その次に多いのは、フィリピン人とインドネシア人。香港の街を歩いていると、場所によっては一瞬フィリピンやインドネシアにいるのではないかと思ってしまうほど、その人口の多さには驚かされます。彼らのほとんどが香港人家庭でメイドとして働く人たちです。その後に続くのがアメリカ人、イギリス人、彼らはビジネスで香港と関わりを持つ人たちがほとんどと言えるでしょう。日本人の人口は約2万人ほどとされています。
西洋人が多く集まる街スタンレー 

西洋人が多く集まる街スタンレー 

香港人が多く集まる下町

香港人が多く集まる下町

香港の気候

春 3月~5月
香港の気候の特徴を一言で表すとすると、高温多湿。特に2月から4月にかけての湿度はひどく、一家に一台の除湿機が必要とされるほど。タンスにかけている服やカバンなどにカビが生えてしまうこともあるほどのひどさ。気温はそれほど高い時期ではないので観光シーズンとしては良い時期でしょう。
湿度95%の香港        

湿度95%の香港        

長州島の饅頭祭り

長州島の饅頭祭り

夏 5月下旬~9月中旬
湿度の高い時期が過ぎ、5月頃から気温は徐々に高くなり、10月半ばころまでは最高気温30度くらいの夏の気候が続きます。夏は高温と湿度で街の中を歩いていると、まるでサウナの中にいるように汗が滴ります。しかし、香港の夏は「寒い」夏でもあるのです。一歩建物の中に入るとこれでもかというほど冷房が強力に効いていて、とても夏の装いではいられないほど。真夏でも上に羽織るものが手放せません。夏に香港を訪れる場合、カーデガンなどをお忘れなく。
夏は海へ出かけましょう    

夏は海へ出かけましょう    

ショッピングもお忘れなく

ショッピングもお忘れなく

秋 9月下旬~12月初旬
毎年9月の中秋節(お月見をする日)を境に気候は秋に変わります。11月頃になるとぐっと気温は下がり、あっという間に冬になります。観光にはお薦めのシーズンです。
秋はイベントが盛りだくさん 

秋はイベントが盛りだくさん 

中秋節の食べ物「月餅」

中秋節の食べ物「月餅」

冬 12月中旬~2月
香港の冬は日本の冬に比べると、それほど気温は低くなりません(最低10度くらいで10度を下回る日が数日ある程度)。しかし、基本的に夏向きにできている建物は、風通しがよくできているため、香港の冬の体感温度は日本よりもだいぶ低く感じられ、例え屋内にいてもコートを脱げないこともあるくらいです。2月中旬の旧正月頃まで寒さが続きます。
旧正月は香港人にとって大切な日です 

旧正月は香港人にとって大切な日です 

街を歩く人々も冬の装いに変わります

街を歩く人々も冬の装いに変わります

言葉

香港の公用語は中国語と英語で、普段話されている言葉は中国語の方言である広東語です。公の場では、英語と中国語(広東語または北京語)の表示があります。イギリス系の会社などでは、英語、北京語、広東語の3カ国語を共通語として使われることが多いようです。イギリス植民地時代には英語をより重要視する傾向がありましたが、中国に返還されてからは、北京語を習得することがより良いビジネスにつながり、将来が保障されると考える傾向が出てきました。義務教育でも、英語だけでなく、北京語での授業を取り入れる学校が増えています。
通りの名前も中国語と英語で表示されます 

通りの名前も中国語と英語で表示されます 

広東語で値段交渉してみましょう

広東語で値段交渉してみましょう

宗教

香港で信仰されている主な宗教は、仏教、道教、そしてキリスト教です。街中には道教の神を祀った寺院や、道端にお線香や食べ物などのお供え物が置かれていることもよくあります。また、中華系以外の国の人も多く住むため、仏教や道教の寺院の他にも、モスクなども街中で見かけることがあります。
道教のお寺車公廟       

道教のお寺車公廟       

キリスト教会

キリスト教会

香港人ってどんな人?

香港人とはどんな人なのか。日本人であるナビから見た香港人を一言で言い表すと、こんな風になりました。

1 香港人にとって大切なのはお金
嫌な印象を与えてしまうかもしれませんが、これは、香港人自身も認めている事実です。例えば、ナビが購入したばかりのデザインの素敵なバッグを香港人の友達に見せたときも、そのデザインについて、感想を述べるよりも前に、まずは「いくらだった?」という質問を投げかけられます。そして値段を述べると、「その値段なら同じような物でどこそこではもっと安い」とか、まずはその値段を基準に話が進められたりするのです。何を買ったかではなくて、いかにお得なお買い物をしたか、それが香港人にとっては大切なことのようです。

2 助け合いの文化
お金が一番大切だと言いつつも、香港人は、とにかくいつも「助け合う」思いやりの心を持っている人たちでもあるのです。人口密度が高く、土地の狭い香港では、家族や友人同士、またご近所同士、お互いの助け無しには生きていかれない街なのです。外国人であるナビも何か困ったことがあり、香港人の友達に一言相談をすると、あっという間に、その友達からまたその友達、またその家族を伝って、助けてもらうこともあるくらいです。もちろんその関係上においては、無償で助けを得られる場合と、お金を払って助けてもらう必要があることもあります。しかし、いずれの場合も、困った人がいるとすぐに行動に移し、思いやりの手を差し伸べてくれるのが香港人なのです。

3 香港人は外国人に慣れている
長い間イギリスの植民地だったこともあり、香港人は外国人慣れしているようです。それは、統治されている国の人に対して従わなければならないという強迫的な慣れと、またそれに対する反発もあるように思われます。また、中国に返還された今、自分たちを決して「中国人」と言い表すことをせず、自分たちは「中国人とは違う香港人だ」と主張します。歴史的に、常に外国と関わらずには生存できない国であるという事実から、外国と仲良くしつつ、香港という立場を崩さずにいなければならないという意識があるのでしょう。そのため、政治的な問題などが関わらない限り、香港人は外国人にとてもフレンドリーな態度で関わり、興味を持ち、受け入れようとする姿勢を持っていると思います。

香港の食文化

中華料理でも西洋料理でもない「焗豬扒飯」

中華料理でも西洋料理でもない「焗豬扒飯」



香港は元々中国大陸から移住してきた人たちで出来上がった街です。そのため、中国各地の様々な料理を香港では楽しむことができます。しかし中でも特にみなさんに味わってもらいたいのは「香港式」料理です。香港式と聞いてすぐイメージするのは、西洋から渡ってきた洋食を香港風に、日本食を香港風に手を加えたものなどです。いずれも完全な洋食ではなく、完全な日本食でもない、「香港式」なのです。これこそ香港以外の国では味わうことのできない香港式ならではの料理だと思います。

観光産業

香港は観光資源が豊富な街として昔から知られています。ビクトリアピークから見渡す100万ドルの夜景や、クリスマスシーズンのイルミネーションなどを見るために各国から観光客が訪れます。香港の国民的行事として、イギリス統治時代の名残でクリスマスを祝う習慣や、中国の一部として旧正月を祝う習慣など、2つの街で東洋と西洋の異なる文化を体験できるのも香港ならではの魅力です。
100万ドルの夜景    

100万ドルの夜景    

眠らない街、香港

眠らない街、香港

盛大な花火が美しい

盛大な花火が美しい


いかがでしたか、香港の基礎知識。海外から多くの観光客を受け入れ、フレンドリーな街として知られる香港ですが、その歴史や政治などを知ると、その複雑さがあるからこそ香港という小さな街が世界に大きな影響を与えていることがわかります。みなさんももっと深い香港を探ってみてください。以上、香港がお伝えいたしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2010-11-18

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