【旧暦4月8日】長洲島の饅頭祭り

香港から高速船でたったの25分。長洲島の年に一度のお祭り、深夜12時に始まる夜中の饅頭祭りに潜入!

こんにちは、皆さんいかがお過ごしですか。香港ナビレポーターのもきです。今回私、中環(セントラル)からちょっと足を伸ばして、高速フェリーで約25分、長洲島という小さな島のお祭り、饅頭祭りにお邪魔してきました。小さな島の大きなイベントに、行く前からわくわくドキドキ!
この饅頭祭りは正式には『長洲太平清醮』と呼ばれ、特に2つのメインイベントが外国人にも人気があります。ひとつは今回見に行った搶包山比賽(Bun Scrambling Competition)。もうひとつが長洲島の子供たちが歴史上の人物に扮した衣装を身につけ、高く持ち上げられ街を練り歩くパレードです。こちらの昼間のパレードは香港のみならず、国外でも有名なので、日本の皆さんも見たことがある、聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか?

ちなみに今年は24日の1日で2万5000人もの観光客がこの小さな長洲島に押し寄せたとのこと。去年はちょうど週末に重なったので、夜中の搶包山まで残って見た人も多かったようですが、今年は次の日が平日の金曜日だったので、去年よりも観客が減ったということです。

それでは祭りのメインイベント搶包山比賽の決勝戦の模様を中心に、昼間とはまた違った表情の、夜の長洲島をご紹介します。早速、フェリーに乗り込んで、出発しましょう!

中環(セントラル)の、島へのフェリーターミナルで、長洲島行きのフェリー乗り場から出発します。中環では、長洲島の饅頭祭りからの帰りと思われる方たちが、お土産の饅頭グッズを手に歩いている姿を、ちらほら見かけ、「お!行ってきたね!」とこちらもテンションが上がります。
午後8時のフェリー。乗り場は、既に夜のイベントを見に行く人たちで、熱気に包まれているのかと、足早に向かいました。すると。
乗る人はそれほど多くないようでした。よかった。島に着く前から、人だかりでもみくちゃにされるのはイヤだもんね。安心したので、少し気持ちが落ち着いてきて、冷静に周りの人たちを観察。
おや。違和感に気づくのに、さほど時間はかかりませんでした。フェリーを待っている人たちは、皆さん、島に「行く」のではなく「帰る」人たちのよう。当然、盛り上がりのかけらもありません。「祭り!」と浮かれているのは我々ぐらいです。いい歳をして、祭りごときにワクワクしていた我々の童心は、「大人の分別」「理性」という言葉に打ち砕かれ、他の人と同じように、大人しく待っていることにしました。
フェリーに乗ってどんぶらこと揺られること約25分、長洲島へ到着。着いたら、人がわんさかいてにぎやか。しぼんでいた我々の童心は、再び元気を取り戻し、早速、饅頭取り合戦のイベントの前に、島を散策することにしました。テレビ局も中継に来ていて、通りがかったお土産もの屋さんではレポーターが、街の様子を紹介しています。
島の住宅は、3,4階建ての建物が多く、高層マンションは一つも見当たりません。赤い灯かりをベランダや軒下にぶら下げ、幻想的な雰囲気。
健康食品だそうですよ。お店の売り子さんが「緑色!」と強調したい意味が分かりません。しかもこれは、黒色です。
「平安」Tシャツ、「平安」冷やしタオル、「平安」茶、「平安」小物入れ、「平安」キーホルダー・・・しかし、色んなアイテムを考え付くものですね。祭りの気分で、ついつい色んなものを買ってしまうのですが、それもまた楽しいもの。
島のレストラン、というか、食堂は、どこも満員。海鮮料理が、手頃な値段で楽しめます。週末や祝日はとても混んでいて、運が悪いとどのレストランにも入れないこともあります。私が個人的によく行くのは、「康記菜館」。シャコやイカ、エビなどの海鮮料理はもちろん、焼きそばやチャーハン、スープや油菜も、どれも手頃で美味しいので、わざわざフェリーに乗ってでも、食べに行く価値はありますヨ!
獅子舞のキーホルダーも売っていました。「あ、カワイイ!」と思って近づいてよく見たら、さほどかわいくありません。特に、真正面から見ると、歯をむき出しにして、目を剥いていて、コワイ・・・。私が小さかったら、泣いたと思います。
あまり祭りとは関係ないようなキャラクター・・・でも目ん玉に「平」「安」と書かれています・・・。
それにしても、さっきから、ものすごい独特の匂いがあたり一帯に充満しているのです・・・一体、何の匂いなんだろう、と思いながら歩いていくと、今年の饅頭祭りで、今までに使われてきた饅頭タワーが、メインイベント会場のすぐ脇に保存してありました。ぶちゅ、とつぶれた饅頭がここそこに・・・。匂いの発生源はこれでした。確かに、さっきから饅頭くさい!くっさー!熱風のような暑い風で、匂いがますます鼻につきます。
匂いのせいで、気分が少しブルーになってきます。気にしないで、色々と見て回ろう・・・気分転換にと、次に目をやったのがこれでした。誰。ちなみに昼間は神様が3人並んでいたようです。1人は早番でおうちに帰ってしまったのでしょうか?
昼間の写真。確かに!一人消えている!!
こちらでは、どうやら粤劇をやるようです。もう夜の10時近いというのに、お年寄りたちがこんなに集まって、劇を楽しみに待っています。粤劇というより、テンションの高い昼のドラマのようでした。
「平安」饅頭を売っているお店を発見。途切れることのない、長蛇の列。1個5ドルというので、並んでみました。
でも、このベタベタに赤くなった、失敗作に当たってしまったら、自分の順番運のなさを恨むしかありません。(実際には、売りませんでしたが)
無事、饅頭をゲット。日本の、普通のあんまんよりも少し大きめサイズ。中には、蓮の実を使用したこしあんがたっぷり。しかも、甘すぎず、ホクホクしていて美味しい!そりゃ、みんなが並ぶわけだ・・・。
そろそろ決勝戦の時間も近づき、会場に向かいます。
真ん中に、高さ14.2m、直径約3m、竹で組み立てた饅頭タワー。饅頭の数8000個。それを囲むように、観客席が設けられ、その背後に、記者席が設置。香港内だけでなく、海外からも色んなメディアが集まって、決勝戦の模様を報道します。ちなみに去年までは本物の饅頭を使っていたのですが、今年からはナイロンでできた饅頭を代用。こちらの方が衛生的だそうですよ。
午後11時過ぎ、いよいよ決勝に残った12名の選手が入場してきました。背中に、饅頭を入れる籠を背負っています。饅頭タワーによじ登って、制限時間内に、饅頭をより多く取った者が勝ち。今年は、女性の選手が決勝まで残ったのが話題に。インタビューを受け、「今まで何年も挑戦してきて、今年初めて決勝に残れたことが、すごく幸せ」と語っていました。
おめでたい、獅子舞が行われます。竹の柱に登って、くるくると回転したり。とっても器用で身軽なパフォーマンスでした。続いて、開会式のスピーチなんぞが、延々と行われます。司会者のしゃべりも絶好調のようで、この暑い中、自分こそが主役とばかりに、ノンストップでしゃべりまくり。時折観客に呼びかけて、場を盛り上げています。
会場周辺の住宅のベランダは、決勝戦を見ようと、住人がそろって見物をしていました。友人を呼んで、楽しく飲みながら観戦。このイベントは、島のみんなが、楽しみにしているのですね。応援団幕もこしらえています。
午前0時、さあ、いよいよ個人戦の決勝、スタートです!ノリのいい、軽快な音楽と共に、人間とは思えないスピードで、軽々と上っていく選手たち。上まで行ったところで、饅頭を取り始めます。「俺の饅頭!明日の朝ごはん!」その意気込みでやれば、饅頭を取る手の動きにも、一段と力がこもるというもの。
続いては、団体戦のリレー。皆さん必死で饅頭を取り集めます。もちろん、手綱とハーネスはついているんですが、それでも、あんな高いところまで上れるなんてスゴイですよね。よく見ると、足を掛けるようなポイントなどありません。饅頭に足を掛ければ、ぽろぽろと饅頭が落ちていくし・・・超人技です。
女性の選手が、一人、取り残されてしまいました。上まで行ったはいいが、下にスムーズに下りられない様子。観客席から、温かい応援の拍手。
決勝戦も無事に終わって、フィナーレです。饅頭タワーから火花が発火、紙吹雪が舞い、爆竹が大きな爆発音を轟かせて、めでたく終了!優勝者たちのインタビューや、記念撮影など、まだ、試合の興奮の余韻が残る会場を後にしました。
島は、風が常に吹いていて気持ちよく、波の音が、気持ちを優しくほぐしてくれました。青空を邪魔する高い建物がないので見晴らしがよく、車の通らない、この島は、みんな、のんびりしていて、くだけていて、普段、香港の街中に住んでいる私は、この、ゆっくりと流れていく時間が、とても居心地のいい空間に感じました。船着場から10分も歩けば、海水浴場にもなっている反対側の海岸に着くぐらい、小さな島です。中環(セントラル)からすぐですので、長洲島に遊びに行ってみてください。そして、来年の饅頭祭りに是非、足を運んでみて、島の熱気に溶け込んでみてください!以上もきがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-05-29

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