毎年恒例の香港インターナショナルレースは、ウィズコロナ政策を反映して4万5000人のファンが訪れ、徐々に元の生活に戻りつつあることを示しました。日本馬はウィンマリリンが香港ヴァーズで優勝しました!
みなさんこんにちは。香港ナビです。「香港国際賽事 / Hong Kong International Races(HKIR)」が12月11日に沙田馬場(Shatin Racecourse)で開かれました。メインの香港カップでは香港馬のロマンチックウォリアーが勝ちました。日本馬は香港ヴァーズでウインマリリンが優勝。HKIRでは4年連続で日本馬が勝利したことになります。
本格的なウィズバブルで4万人が来場
HKIRは短距離から中距離のG1レースが1日4レース開かれる世界的に名を知られているイベントです。言うまでもなくここ数年は、HKIRも新型コロナウイルスに翻弄されてきまして、なんとかレースを続けてきました。2020年は無観客だったので関係者のみに開放され(271人)、2021年はオミクロン株が広まる直前で、少しだけ感染拡大が落ち着いていたこともありソーシャルディスタンスを保ちながらの開催でした(観客は1万8600人)。2022年、香港政府はウィズコロナにシフトし、海外からの来港者への隔離も撤廃。4万5000人の競馬ファンが集まりました。
大きなニュースがもう1つありました。2013年秋から香港を拠点に活動してきたブラジル人のジョアン・モレイラ騎手ですが、股関節の問題とコロナ禍による家族とのコミュニケーションの問題によるストレスから2022‐23年の香港での免許を返上し、ブラジルに戻って最後の騎手生活を送ることを決めました。今回のHKIRは香港での最後の騎乗となり、香港賽馬会(HKJC)は感謝のセレモニーを行いました。
香港ヴァーズ(2400メートル)
ガッツポーズを決めるレーン騎手
G1最初のレースは「香港ヴァーズ」でHKIRの4つのG1レ―スの中で、最も長い距離の2400メートルを走ります。日本馬を見ると香港ラストランになるモレイラ騎手がグローリーヴェイズに乗ります。このコンビで2019年と21年の香港ヴァーズを勝っており、同レース初の3度目の勝利を狙います。その期待を背負って1番人気に押されました。もう1頭の日本馬はウインマリリンです。
レースですが、グローリーヴェイズは後方を走りその斜め後ろにウインマリリンがぴたりをマークしながら折り合いをつけます。4コーナーをまわり残り400メートルの直線ではグローフィーヴェイズは7番手、大外を回ってきたウインマリリンは8番手ですが、そこから一気にウインマリリンが加速。残り150メートルでトップに立ち、最後は1馬身半の差をつけて優勝しました。グローリーヴェイズも3着に入線しました。
鞍上のダミアン・レーン騎手は「乗りやすい馬で、騎乗できて幸せです。2400メートルという距離は彼女に合っていると思いますし、少しホッとしています」とエリザベス女王杯で2着に終わった悔しさを晴らしました。
香港スプリント(1200メートル)
ゴール前で差し切ったウェリントン
陸上競技の100メートルのように、競走馬で最も速い馬を決めるレースなのが香港スプリントです。日本からは4頭が出走します。レーン騎手のジャンダルム、丸田恭介騎手が乗るナランフレグ、メイケイエールは負傷した池添謙一騎手の代役としてジェームズ・マクドナルド騎手が騎乗します。4頭目のレシステンシアに乗るのはモレイラ騎手です。
レース序盤は、リムズコジオスコが引っ張りますが、そのすぐ外にいたサイトサクセスが3コーナーから馬群を引っ張ります。最後の直線入ると、後方の外側を走っていたウェリントンが追い上げ、残り100メートルで、先頭を粘りの走りをしていたサイトサクセスを抜き去ってゴールしました。
勝利に導いたライアン・ムーア騎手は「いい馬ですね。乗れてうれしかったです。ペースも安定していて、おおよそ計画通りに走れました。知的な馬で乗っていて楽しかった」とほぼ狙い通りに騎乗できたことを話しました。
2021年の香港スプリントでは4コーナーで落馬事故が発生し、アメージングスターなどが安楽死処分となっただけに、今年は全馬が無事に完走できたのは良かったと思います。
香港マイル(1600メートル)
ゴールデンシックスティ(右)は3連覇ならず
マイルは、2018、2019年と勝利したビューティージェネレーション。そのビューティージェネレーションの3連覇を阻んだゴールデンシックスティは2020、2021年と連覇と香港馬の強さが光っています。ゴールデンシックスティは今年に入り連勝が16でストップ。2着、3着と続き、衰えが出てきたと思われましたが、その次のG1レースのチャンピオンズマイルから3連勝。ビューティージェネレーションができなかった3連覇を狙います。
日本からは、クリストフ・ルメール騎手が手綱を取るシュネルマイスター、今年のNHKマイルカップを制したウィリアム・ビュイック騎手のダノンスコーピオンの2頭です。
スタート後、カリフォルニアスパングルが先頭に立ち、最初の400メートルは25秒01のスローペースでカリフォルニアスパングルが狙っていた展開になりました。しかし、残り約800メートルになったときビューティージョイが先頭に変わります。最後の直線ではゴールデンシックスティが外から豪快に追い込んできますが、再びトップに立っていたカリフォルニアスパングルが序盤にスローペースに持ち込んだことで脚が残っており、そのまま逃げ切り、首差で勝ちを収めました。
鞍上のザカリー・パートン騎手はこれで香港マイル4勝目です。「ビューティージョイが来た時、先に行かせて、ビューティージョイの後ろについてリズムよく走ってました。残り200で捕まえられると思いましたが、100になって私たちに届かないと思いました」とレースを振り返りました。
香港カップ(2000メートル)
ガッツポーズをしながらゴールするマクドナルド騎手
HKIRのメインレースの香港カップ。2021年の勝馬は同一年で海外G1を3つ勝ったラヴズオンリーユーでしたが、繁殖牝馬となったため、別な日本馬3頭が登場します。吉田豊騎手のパンサラッサ、武豊騎手が乗るジャックドール、北村友一騎手鞍上のダノンザキッド、ビュイック騎手によるジオグリフ、香港G1最後の騎乗となるモレイラ騎手が手綱を引くレイパパレの5頭です。日本馬の強力なライバルは、香港ダービーやクイーンエリザベス2世カップなどここまで9戦8勝のロマンチックウォリアーで、地元香港の期待もあり1番人気でした。
ロマンチックウォリアーはスタートは良すぎるぐらいでしたが、鞍上のマクドナルド騎手は馬を上手く抑えて5番手の位置につけ、マイペースで道中を走ります。最後の直線、残り400メートルで5番手のままだったロマンチックウォリアーですが前が開いています。同馬は推進力が強くマクドナルド騎手は鞭を入れないにもかかわらず残り300メートルを切ったところでトップに立ちます。残り250メートルぐらいで初めて鞭を入れるとさらに加速。最後は流しながら走り、しかもゴール前でガッツポーズをしながら勝利する圧勝劇(4馬身半)でした。ダノンザキッドも追い上げて2着に入りました。
マクドナルド騎手は「こんな形で勝てるとは思ってもいませんでした。脚質も良く、全てを持っていると素晴らしい馬です。このレースことが私が勝ちたいレースでした」と喜びを爆発させました。
競馬の最後は最後は花火
いかがでしたか? 2018年は香港馬が4戦全勝しましたが、2019年は日本馬が4戦3勝、2020年は4戦2勝、2021年は4戦2勝でした。ウインマリリンの勝利で日本馬は4年連続でHKIRでの勝利を記録しました。2023年は5年連続での勝利を期待しましょう。以上、香港ナビがお伝えしました。
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記事登録日:2022-12-26