作品賞に『葉問』。中国本土の俳優に押されていた香港俳優が、主演・助演の男優賞、女優賞を独占。また日本人が音楽関係の賞2部門を制覇!
こんにちは、香港ナビです。香港のアカデミー賞にあたる金像奨の受賞式が4月19日に尖沙咀(チムサーチョイ)香港文化中心(カルチュラル・センター)で行われました。今年も授賞式の模様を写真と共にお伝えいたします!
200万ドルかけたレッドカーペット
長くなったレッドカーペット
ここ数年は香港体育館(香港コロシアム)で行われたり、文化中心のレッドカーペットのレイアウトも毎年変わるなど“落ち着かない”面がありましたが、今年はスターフェリーターミナル横の鐘楼のところに200万ドルかけて豪華で長いレッドカーペットを設置。おかげで取材エリアも以前ほど混雑ぜず取材している方としても楽でした。
映画祭前からいろいろなことで話題に
今年は、いわゆる大本命がいないレースといえました。『レッドクリフ』は日本では大ヒットを飛ばしましたが、香港では「大」がつくほどヒットしなかったからかもしれません。また、歯に衣を着せぬ発言で有名な女優の呉君如(サンドラ・ン)がある番組で主演女優賞は4年連続で中国人女優をとっているのはおかしいとコメントしたため、主演女優賞の行方が注目されました。一方、ちょうどこのとき、成龍(ジャッキー・チェン)が海南省で開かれていたボアオ・アジアフォーラムで「中国人は管理されるべき」という言葉で物議を醸しだし、これについてコメントを求められる芸能人がいたりして、映画賞以外の別なところに光があたるという、ちょっと残念なところもありました。日本人にはあまり知られていませんが、ジャッキーは日本の首相以上に失言癖があるので、香港人メディアの人は“またか…”という感じだったようです。
会場のすぐそばでは獅子舞のチームが待機
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レッドカーペットのそばに設けられたスクリーンを眺める人々
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美の競演(女優編)
どこの映画祭、映画賞でもそうですが、今回もレッドカーペットは、ファッションメーカーから提供された美しいドレスとジュエリーを身にまとう女優とのコラボレーションの場です。
林志玲(リン・チーリン)は、噂の彼との結婚話の質問を受けていました
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周迅(ジョウ・シュン)はシャネルのドレス
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久々の登場?した 2R
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アンテプリマのドレスを着た衛蘭(ジャニス・ビダル)。この人の双子の妹、衛詩(ジル・ビダル)が大麻所持の疑いで東京で逮捕されました
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『ラスト、コーション』の大胆なヌードのせいで中国では干されてしまった湯唯(タン・ウェイ)。ヴァレンチノのドレスです
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最近、女優というより大胆発言が多い呉君如(サンドラ・ン)
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劉美君(プルーデンス・リュー)はジャン=ポール・ゴルチエのドレス
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ディアラ(約280万ドル)を付けてお姫さま風になったのは林嘉欣(カリーナ・ラム:右)
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『ミラクル7号』に出た徐嬌(シュー・チャオ:右)。長髪になってかわいらしくなりました
おしどり!?夫婦編
レッドカーペットには、夫婦で登場した人ももちろんいます。
甄子丹(ドニー・イェン)の妻、汪詩詩(セシリア・ワン)
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張家輝(ニック・チョン)と奥さんの關詠荷(エスザー・クワン)
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こちらも夫妻で登場の呉宇森(ジョン・ウー)監督
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夫婦ではありませんが、共演を機にカップルと噂されているのでこちらに。一部別れたという報道がありましたが、一緒に登場した薜凱琪(フィオナ・シッ)と房祖名(ジェイシー・チェン)
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恋人同士ではありません(共演編)
共演者が一緒にカーペットの上を歩きます。恋人同士ではないのであしからず(笑)。
3月のアジア・フィルムアワードに続き映画賞に参加した田中千絵(中央)
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エイベックス所属のalan(右)は四川省美人谷出身
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熊黛林(リン・ホン:中央)はクリスチャン・ディオールのドレスです
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古天楽(ルイス・クー:中央)と『保持電話 Connected』で共演した徐煕媛(ハービー・スー:右)
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どうしても華やかな女優には負けてしまいます(男性編)
残念ながらレッドカーペットの上では男性陣は地味になってしまいます。
中国の名優、張豊毅(チャン・フォンイー)
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映画賞、常連中の常連、任達華(サイモン・ヤム)
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一番声援が大きかったのは、今をときめく呉尊(ウー・ズン)でした
洪金寶(サモ・ハン:一番右)がいますが、他のメンバーをみて懐かしさを感じたら、あなたはカンフー映画マニア
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レッドカーペットのイベント最後にはテープカットと花火
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ジャッキーとサンディの歌
各賞の発表の間に、歌がありますが、今年は香港映画100年を記念した映画ヒット曲を張学友(ジャッキー・チョン)と林憶蓮(サンディ・ラム)の2人が披露。さすが実力派の両人だけあって、見事に客席を歌の世界に引き込んでいました。また、映画に長い間貢献してきたライフタイム・アチーブメント賞には蕭芳芳(ジョセフィーン・シャオ)に送られました。近年では1995年の『女人、四十』で香港と台湾の主演女優賞をとっています。ナビは知らなかったのですが、彼女は6歳で映画『小星涙』(1954年)に初出演という子役からキャリアを始めていたそうです。以来、半世紀以上にわたって映画、テレビ界に貢献してきたことが認められました。
日本人が音楽2部門を制覇
トロフィーを掲げる藤原育郎(左)
まずは、先に主要部門の受賞者、作品を紹介します。
◆作品賞=『葉問 Ip Man』:葉偉信(ウィルソン・イップ)
◆最優秀監督賞=許鞍華(アン・ホイ):『天水圍的日與夜 The Way We Are』
◆主演男優賞=張家輝(ニック・チョン):『証人 The Beast Stalker』
◆主演女優賞=鮑起静(パウ・ヘイチェン):『天水圍的日與夜 The Way We Are』
◆助演男優賞=廖啓智(リウ・カイチー):『証人 The Beast Stalker』
◆助演女優賞=陳麗雲(チャン・ライワン):『天水圍的日與夜 The Way We Are』
◆最優秀映画音楽スコア賞=岩代太郎:『赤壁 Red Cliff』
◆最優秀オリジナル映画音楽賞=藤原育郎『畫心』:『畫皮 Painted Skin』
ご覧の通り、オリジナル映画音楽賞は昨年の久石譲に続き藤原育郎が受賞し、2年連続で日本人の頭上に。藤原は「人との出会いを大事にしてきた。この映画で素晴らしい人たちと出会えてとても幸せです。」と喜びをかみしめていました。音楽スコア賞でも岩代太郎の上に輝き、日本人が2部門を制しました。
香港人俳優が主要部門を独占
ニックはコメディからシリアスまで何でも演じられる幅の広い役者です
香港ナンバーワン作品には、李小龍(ブルース・リー)の師匠を描いた『葉問』が輝きました。プロデューサーの黄百鳴は「ドニーが主演男優賞をとれなかったのは残念だけど、この賞を取ることができて良かった」と喜んでいました。
主演男優賞に輝いたのは張家輝。「オバマ大統領が当選したとき、今回は自分にもチャンスがあると思った。この賞を長く待っていた」と目に涙を浮かべていました。助演男優賞は1993年以来16年ぶりという廖啓智は「来年は新人賞を狙います」と場内を笑わせたあと、「(2006年に亡くなった)子どもの写真の前にこのトロフィーを置いて受賞を知らせます」と話していました。
上記に書いた4年連続で中国人女優が勝ち取っている主演女優賞。ウィナーは鮑起静で中国勢の5年連続にストップをかけました。弟は『グリーン・デスティニー』の撮影を担当するなど芸能一家。「この映画を引き受けた時、賞をもらえるなんて思いもしなかった。あの時の監督は、予算、キャストもなく、情熱だけあるという感じだったので、監督のサポートだけを考えていた」と涙を流しながらうれしさをかみしめていました。助演女優賞はテレビ女優として芸歴43年のベテラン女優、陳麗雲がトロフィーを受け取った「テレビ女優なので、映画女優としてはかなり後ろの位置にいたので、受賞することは想像できなかった」と本音を語っていました。
作品賞を喜ぶドニーを中心とした『葉問』の関係者
監督賞受賞のスピーチをする許監督「香港映画界は男性社会だけど、それを打破できた」
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廖啓智はエンターテインナーです。カメラマンが喜びそうなポーズをいろいろ作ってくれました
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いかがでしたか? 大作『赤壁』は5部門をとりましたが、作品賞や主演・助演といった大きな部門の賞はとれずじまいでした。また、今回の主要部門の受賞者は全員が40歳以上で、世代交代が進んでいない現状も浮き彫りになりました。王貞治さんが「日本球界はいつまでもONに頼るようではだめ」といっていましたが、香港芸能界もいつまでも四天王を含めた俳優・女優、監督が怪気炎をあげているようでは、香港映画の将来は確実に明るくありません。30代以下の人たちに奮起してもらって、来年の金像奨ではたくさん受賞してもらいたいものです。以上、香港ナビがお伝えいたしました。
その他情報
一部画像は提供写真。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2009-04-24