満月とランタンに負けないくらい中秋節の夜を盛り上げる、100年以上の歴史を誇る大坑(タイハン)の有名伝統行事。
こんにちは、香港ナビです。中秋の名月はどう過ごされましたか?ランタンを見にビクトリア公園に足を運んだ人、月餅を食べた人、月餅をたくさんもらって困った人?もいたかもしれませんね。人それぞれいろんな中秋節の過ごし方がありますが、ロマンチックなランタンよりも躍動感あふれる伝統行事が見たい、という人におすすめしたいのが、大坑(タイハン)で行われる獅子舞。しかし、ただの獅子舞ではありません。火で燃えているドラゴンダンス(中国語で舞火龍)で、毎年、平均で1万人もの見物客が訪れる有名なイベントなのです。
伝染病がなくなるよう、神様にお願い
火で燃えているといっても、龍そのものが燃えているわけではありません。実は獅子舞に大きな線香を刺してそこに火をつけています。でも太く大きな線香ですから近づけはちょっと熱さを感じますし、もし龍が激しく踊れば火の粉も飛びちります。また、立ち込める煙もすごく、獅子舞自体も通常のよりもかなり長く67メートルもあるのでなかなかの迫力があります。
場所は、中央図書館の裏手、MTR天后(ティンハウ)駅から歩いて10分弱のところにある浣紗街(Wun Sha Street)周辺で行われます。時期的には“旧暦”で8月14~16日です。
ことの由来は1880年の中秋節の前日に台風が香港を襲い、漁村だった大坑村は大きな被害を受け(昔はこのあたりが海岸線でした)、家の裏で買っていた家畜はニシキヘビの餌食となりました。そこで、住民はそのニシキヘビを殺したわけです。ところが台風通過後そのニシキヘビの死体が消えたとおもったら、感染病が発生し大勢の村民が死亡しました。
当時、ニシキヘビは竜王の子供だと考えられて、ニシキヘビを殺した復讐として伝染病が起こったのだと村民は考えました。そこで、神に助けを求めるべく、台風を起こしたであろう海の竜王が恐れる「火龍」を作り、病気がなくなるようにと3日3晩踊り続けました(それが前述の8月14~16日)。すると伝染病が消えたというストーリーです。この話が今まで伝わっているのです。
浣紗街の前にはこのような飾りが
線香が刺される前のドラゴン
龍の構造を見てみましょう。最初は稲わらで作られていましたが、今は、珍珠草(小蜜柑草のこと)で作られます。龍の歯は鉄でできています。目は懐中電灯を使っているのが現実的と言いますかおもしろいところです。昔はこの獅子舞は銅鑼湾(Causeway Bay)にある台風避けに沈めていましたが、海水汚染などから、使用後は火で焼かれています。
龍に魂を吹き込む儀式から
始まりは、浣紗街の東側にある蓮花宮というところで関係者が線香をあげます。そして、獅子舞が中に入ってきて、リボンをつけたり、目に色をつけたりして魂を吹き込むような儀式を行います。そして、近くの場所を移動して、関係者のあいさつをしている間に、獅子舞に火がついた線香がどんどんさされてあっという間に「火龍」の出来上がりとなります。
このころには沿道にはたくさんの人であふれかえり、写真を撮ろうとする人、ランタンを売る店や、この周辺は車の修理工場が多いのでシャッターを開けてバーベキューをしながら舞火龍を楽しむひとなどさまざまです。
途中で龍についていた線香が配られます
さあ、獅子舞が動き出しました。67メートルもあるので、銅の部分を支える人たちの人数は半端ではありません。また煙がすごくて咳が出そうになりますし、目からは涙が流れてきます。たまに龍は、沿道沿いの客に近づいてきて、頭をふったり、尾っぽの部分が大きく振られたりして迫力のある動きをみせてくれますが、と同時に火の粉がたくさん降ってきて鑑賞するのもなかなか大変です。
ある程度になると、線香が抜かれて、それが観客に配られます。そして、再び燃えている線香が刺されて踊りを開始。龍を支えている人は汗だくに、そして灰だらけになって龍を動かしています。
もちろん、獅子舞が躍るため、太鼓はシンバルを鳴らす人、ランタンを持った少女、バグパイプの演奏などもあります。
舞火龍についていた線香を沿道の人に配ります
|
|
再び線香に火を付けます
|
いかがでしたか?中秋節といえばランタンであったり月餅であったりしますが、この舞火龍も要チェックのイベントです。来年はちょっとだけ足を伸ばして鑑賞してみるのはいかがでしょうか?ちょっと香港の文化を知る良い機会かと思います。以上、灰だらけの香港ナビがお伝えしました。
関連タグ:
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2008-09-24