まだまだ暑い夏は終わりませんが、季節はもうすぐ中秋節。冰皮月餅を最初に売り出した老舗「大班」の今年の味を食べ比べ。
こんにちは、香港ナビです。旧暦8月15日(十五夜)は中秋節。2009年は10月3日です。満月を観賞しながら月餅(ムーンケーキ)や果物を食べるのは、中国の古くから続く習慣のひとつです。香港には、日本のお中元のような感覚で、中秋節前にお世話になった方や会社に月餅を贈る習慣があり、中秋節の2ヶ月ほど前からテレビCMや街頭の広告では、月餅商戦がいたるところで繰り広げられています。ここ数年は、伝統的なヘビーな月餅と共に冷やして食べる月餅が人気です。その名も「冰皮月餅(ビンペイユッベン)」。ナビでも毎年月餅特集の際にご紹介しているので、ご存知の方も多いかもしれません。しかしながら、この冰皮月餅、大々的に宣伝をしている割には実際に食べたことがない、という香港人や在住日本人も多いようです。
今年のナビの月餅特集は、みんなが知っているのになかなか食べる機会がない、不思議なお菓子「冰皮月餅」を食べ比べてみたいと思います。今回は冰皮月餅を最初に売り出したと言われるケーキショップ「大班」と、毎年ケリー・チャンを広告塔に使用し、海外でも知名度の高い「美心」の2つの主力商品を比べてみました。続けてお届けする「Let`s 食べ比べ 冰皮月餅編」、まずは大班から食べ比べたいと思います!
今でこそ各社が冰皮月餅を販売していますが、最初に売り出したのは、ここ大班。月餅の常識を覆すあっと驚くバラエティ豊かなあんをヘルシーな緑豆から作った皮で包んでいます。香港中にいろいろなフレーバーの冰皮月餅があふれる中、やはり老舗の味が一番、ということで毎年冰皮月餅の売上第一位は大班だそうです。
今回ナビが食べ比べたのは、「迷你八寶月餅 (八個迷你裝) HK$180」。ミニサイズのそれぞれ味の異なる冰皮月餅が8個セットになっています。このほかに、燕の巣入りの贅沢なギフトセットやドリアンやキャビア、トリュフ味などもあります。
結果発表
☆第1位☆
軟心咖啡朱古力
チョコレートを練りこんだあんの真ん中にコーヒークリームが入った、濃厚な「軟心咖啡朱古力(コーヒーチョコレート)」が堂々の第一位です。一口食べた瞬間、「あれ?これ本当に月餅?!」と疑ってしまうような従来の月餅からは想像ができないおいしさ。チョコレートだけだとくどくなりがちですが、ビターなコーヒークリームが程よく苦味を加え、バランスの整った月餅に仕上がっています。
☆第2位☆
和風大栗荳蓉
モンブランケーキのマロンクリームを包んでいる感じ。洗練された洋菓子と比べると人工的に作り出した栗の味が気になりますが、他のフレーバーに比べると甘さはかなり控えめ。クリームの中には栗の粒が入っていて、粒々の食感も楽しめます。名前が「和風大栗荳蓉」というだけあって、日本人に受け入れられそうな味です。
☆第3位☆
小倉紅荳蓉
和菓子のような味。食べなれた味の安心感から第三位です。冰皮月餅の皮自体が「雪見だいふく」や求肥を使用した和菓子に食感が似ているため、小豆とあわせることにより、さらに日本のお菓子に近づいたようです。香港人からも「食べやすい」という高評価。ただし、100%和菓子を想像して食べると、日本の上品な小豆の味とは違う中華風の小豆の甘さのため、がっかりするかも。
☆第4位☆
綠荳蓉
不二家のミルキーを粉末にして水を加えてこねたような、とにかく甘い月餅です。大人になったナビたちには受け入れられませんでしたが、子供たちはこの甘さが大好きなはず。食べ比べに参加した日本人は皆、一口食べて「甘い!」と顔をしかめましたが、香港人は「ごく普通の緑豆の味」と冷静に味わっていました。ただ甘いだけで、その甘さに特にくせはなく、減点対象?となる変な味もしなかったため意外にも上位にランクイン。
☆第5位☆
芝麻綠荳蓉
芝麻とはゴマのこと。グレーの外観からもわかるように皮にもゴマが練りこまれています。ゴマペーストのあんの中に緑豆のあんが包まれています。ゴマの香ばしい甘さと緑豆のヘビーな甘さが混ざり合い、結果的にかなり甘い月餅になっています。もう少し緑豆の分量が少なければゴマ風味がメインになって、甘さが気になる大人にも受け入れられる味になったかな?
☆第6位☆
藍莓荳蓉
ブルーベリー味の月餅です。甘さ全開のあんの中にブルーベリージャムが入っているのですが、周りのあんの甘さでブルーベリーの味が完全に打ち消されています。中には大きなブルーベリーが入っているのですが、なぜか薬のような味がして、あんも粉っぽさを感じました。ブルーベリー味ということで、フルーティーな味を期待していたために、残念なお味でした。
☆第7位☆
芒果綠荳蓉
マンゴーの香りはするのに、マンゴーの味がしない、不思議な月餅です。中にはしっかりとマンゴーの果肉まで入っているのですが・・・。マンゴーというよりもクリームチーズのような味で、甘さは控えめ。クリームチーズ味だったら、なかなかおいしいかもしれませんが、「芒果(マンゴー)」と謳うならばマンゴー味を楽しみたかったというガッカリ感から、ランクは低め。
☆最下位☆
蛋黄綠荳蓉
香港人と日本人で評価がはっきりと分かれたのが、この蛋黄綠荳蓉。「蛋黄」とはタマゴの黄身のことです。流行の最先端を行く(?)冰皮月餅であっても、伝統的な月餅の味は忘れられません。蛋黄綠荳蓉には普通の月餅の中に入っているアヒルのタマゴの塩漬けの黄身が入っています。この黄身がキライだから中国の月餅は好きになれない、という日本人が多いと思うのですが、香港人にはこれこそ月餅!食べなれた味!ということで、大人気でした。
最後に冰皮月餅の保存の仕方をご紹介
冰皮月餅は4℃以下で保存してください。零下60度で高速冷凍されているため常に冷凍庫で保存することをおすすめします。また、包装をあけると中身の湿度が変わり味も変わってしまう恐れがありますので、すぐに食べない場合は個別包装を開封したり切ったりしないことがおいしくいただく秘訣です。食べるときは食べるだけの量を取って、冷蔵庫の下のほうで1時間ほど解凍してから食べてください。日本への持ち帰りは難しいかもしれません。買ってすぐにホテルで食べてくださいね。
いかがでしたか?今回の食べ比べは甘さとの対決。直径5センチほどの小さなミニ月餅にも関わらず、全部を食べきるのは至難の業かもしれません。次は「美心」の月餅の食べ比べです。伝統の味を守り続ける大班と比べると、フレーバーの種類も豊富で期待度の高い美心冰皮。最終的にはどちらの月餅が日本人の口に合うのでしょうか?以上、香港ナビがお伝えいたしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2009-09-22