口コミで評判が広がる!マカオから上陸のお粥と麺の老舗専門店。竹で打った竹升麺が自慢。
こんにちは、香港ナビです。今回はセントラルのど真ん中、ランドマークの交差点から歩いてすぐのところにある、黄枝記をご案内します。こちらは、もともとはマカオから始まったファミリービジネスの3代目社長、黄天氏が経営する香港店。 (2012年3月にすでに移転しているため、外装、内装とも現在と異なります)
お父さんの跡を継いでフードビジネスに関わっていますが、黄天社長はもともと文化人で、日本に留学していたこともあって中日関係に詳しく、講義をされたりすることもあるそうです。(余談ですが、日本語では普通日中関係といいますが、香港では当然のことながら中日関係、と中国が先にくるところが面白いなと思いました。)マカオ返還の際に政府から出版された本にも依頼されて投稿されたのだとか。
また、日本にいた頃中国式のお習字を日本人に教えていたこともあるほど達筆で、お店の壁にも黄社長の作品が飾ってありました。ペーパーマットの字も、もちろん黄社長の直筆です。日本留学中に知り合ったご友人の中に宮内庁御用達の印鑑彫刻家がおられて、黄社長の作品に押されている印はその方の作品なのだそうです。
「有錢最好食雲呑」つまり、お金があったらワンタンを食べるのが一番!と、優雅な文字が表現しているのは意外と現実的な内容でした。とってもわかりやすい。
外観同様、インテリアもちょっとアンティークな感じの中国風。壁に飾られた昔の香港やマカオの写真も白黒で、レトロな雰囲気をかもし出しています。お粥や麺は単価も安く中華料理の中では一番手軽で庶民的な食べ物ですが、それをここまで凝ったインテリアで提供しているのは、やはり文化人である黄天社長の中国文化に対するプライドが反映されているのでしょうか。
プライドといえば、もうひとつエピソードがあります。2006年7月頃に黄枝記の空港店をオープンする予定になっていますが、最初は空港内のフードコートへの出店を持ちかけられたのだそうです。しかし、黄社長いわく、お粥と麺は伝統ある香港食文化のひとつであるからして、フードコートなんかでハンバーガーやスパゲティなどと肩を並べて同等に扱われるべきではない、したがって「フードコートなんかお断り。」出すならきちんと独立した店舗で出させて欲しいという旨の手紙を出して相手側を納得させ、めでたく黄枝記空港店オープンの運びになったのであります。帰国の際にぜひお試しください。
お待たせいたしました。ここでやっと本題に入ることにしましょう。
その1
生滾蟹粥(Fresh crab congee) 新鮮な蟹入りのお粥 48ドル
お粥は何種類かの米をミックスして約3時間半煮ます。ひとつひとつ注文を受けてから具をいれてフィニッシュ。蟹粥の場合、生きている蟹を注文を受けてから料理するので非常に新鮮。オレンジ色の蟹の甲羅がお粥の白に映えて食欲をそそります。夕食か狭間の時間にゆっくりと食べて欲しい一品です。
甲羅の裏には卵がぎっしり入っていて48ドルとは思えない質の高さ。
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ねっ、こんな風にドデーンと丸々一匹入っているんですよ!!
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その2
雲呑蝦子撈麺(Braised noodle w/wonton & shrimp eggs) 40ドル
ローミンの食べ方
まず、うやうやしくサイドのお碗からレンゲでスープをすくってそーっと麺にかけます。この作業を何度か繰り返します。なぜ、そーっとなのかと言うと、お皿なので気をつけないとあふれ出てしまうのからなのです。そして、混ぜ混ぜ。今回は李シェフ自らプロフェッショナルにかき混ぜてくれました。蛯子が全体に行き渡るように混ぜましょう。撈麺の撈の字は「かき混ぜる」という意味なので、撈麺はつまり麺をかき混ぜるということなのです。スープはワンタンを浮かべてもよし、そのままゴクゴク呑んでもよし。特に厳格なルールはないのでお好きにどうぞ。
蝦が透けて見えるワンタン。
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開けてみたらこの通り、まぎれもなく蝦そのもの。
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その3
乾炒肉絲麺(Fried Noodles w/pork&soy sauce) 豚肉入り醤油焼きそば 42ドル
この焼きそばの特徴は麺が特別細いこと。汁麺とは違う種類の麺です。醤油も独自でブレンドしています。
まず、蒸してから炒めます。具はモヤシ、青ねぎ、たまねぎがベーシックですが、この場合「肉絲麺」なので豚肉の細切が入ります。
ここでちょっと焼きそばの実演調理をしてくださった李展基シェフをご紹介しましょう。この店でお祖父さん、叔父さんにつづいて3代目。若く見えますがすでにこの道8年のベテランです。 海外で竹升麺の実演をした経験もあり、店の入り口に飾られた写真に写っているのはこの李シェフです。
その4
牛腩麺(Stewed beef w/noodle in soup) 牛バラ肉麺 24ドル
2時間煮込んだ牛バラ肉は味がよくしみて柔らか。
ここに黄枝記特性のラー油を落として食べるとさらに味が引き締まって最高。辛いのが大好きな中国大陸からのお客さんが一度に2杯分使い果たしたことがあるとか。でも、本当にかなり辛いので入れすぎないように気をつけてね。
お土産にこの手作りのラー油を1瓶50ドルで買うこともできます。
ここでちょっと黄枝記名物、特性竹升麺の説明をしましょう。
麺の作り方:アヒルの卵をカナダ産の小麦粉に混ぜて、タネを竹の棒でこねます。かん水を入れないのが特徴です。普通は麺に弾力を出すために、かん水をたくさんいれるので、その匂いを消すために酢を落として食べることになります。マネージャーの莫さんいわく、「そんなことをしたらもう麺の味がだめになってしまう。うちの麺を食べ始めるとかん水の入った麺はもう食べられないよ。」麺とワンタンを生のまま自宅用に買って帰る人もいるそうです。
やはり黄社長の達筆で、「先祖伝来の竹升麺はかん水を含んでいません。マカオで作って直接香港店に運んで来てます」
その5
澳門豬扒包(Macau Pork Chop Bread) マカオ・ポークチョップ・バーガー
普通お粥と麺の店には絶対ないメニューですが、これは黄枝記がマカオ出身という経歴ゆえのうれしい驚きなのです。またまた黄社長の、せっかくマカオから香港へ出店するなら、マカオで一番いいものを香港に紹介したいというこだわりから、あえてマカオで一番高い工場から仕入れたパンを使用。ポルトガル式のバケットは外から見て硬そうだなと思いきや、皮はぱりぱり、中はふんわりで予想を裏切る歯ごたえ。注文を受けてから肉をグリルするので熱々が食べられます。パンにポークチョップをはさんだだけのいたってシンプルな作りなんですが、これだけあれば他には何もいらない、梅干のおにぎり的充実感があります。
その6
北菇生菜(Black mushrooms & lettuce) シイタケとレタスの煮物 36ドル
今回料理の紹介、黄社長のエピソードなど、いろいろ説明してくださった温厚でやさしさあふれるマネージャーの莫さん。
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かなり恥ずかしがっていたウエートレスのお姉さん。とっても親切でした。
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特に宣伝広告はしない主義。でも、香港ナビのように向こうから取材を申し込まれた場合のみ来る者は拒まず。というわけで取材記事がたくさん掲示してありました。おいしければ口コミでうわさが広がっていくという自信があるからなのです。
日本語メニューあり。マネージャーの莫さんは少し日本語ができます。 もちろん広東語と英語の入ったメニュー原本と内容も値段も同じ。