Dessert　

こんにちは、香港ナビです。摩天楼と大型ショッピングモールに囲まれ、免税だからこそ世界中のブランド品も安く手に入る香港ですが、一方で構想力豊かで、夢を叶えるために頑張っている地元のファッションデザイナーが多いのもご存知ですか？この土地で生まれ育った香港人デザイナーがどのようにこのデザインの道を辿ってきたのか？彼らにとってファッションとは何なのか？今回ナビは、香港で生まれ育ったファッションデザイナーをインタビューしてきました！

新たな可能性の探求、未知のファッションの世界へ
尖沙咀にあるRise Shopping Arcade（利時商場）の4階は、ローカルデザイナーのお店が集結した場所。ここに、オープンして4年半がたつ「Dessert」というブティックがあります。オーナーデザイナーのキー・チャン（Kee Chong）さんは、ファッションデザインに与えられた枠を超えた、大胆かつ奇想なデザインを作りだしています。

ゼロから生まれたファッション

小さい頃からファッションデザイナーになることに憧れていたキーさんは、その夢を持っていたにも関わらず、デザイン関係の勉強はせず、裁縫屋の両親からもデザインや裁縫の知識も学ぶことをしなかったそうです。しかし彼女はファッションに対する熱意をずっと持ち続け、洋服や小物を販売する店をオープンさせました。

「主に外国や地元香港から洋服や小物グッズを仕入れて販売していました。お店は３時から開けていたので、昼間は結構時間の余裕があって、その時間に自分でも洋服を作ってみようかなと思って。だから最初お店に自分で作ったものがほんの数枚しかなかったんです（笑）。服作りの勉強は全然していないので、この生地にどういう特徴があるのか、または寸法を測る基本などについては全く分りませんでした。作ってみたくて自分の体をモデルにし、仕上げるまでに必要なステップは全部試行錯誤でした…だけど、驚いたことに以外と売れたんです。その時から私のデザイナー人生が本格的に始まりました。」

お店のコンセプト＝型破り？
「ひとことで言うと、ほかの人がやったことのないデザインを創作しています。普通、デザインというのは着心地を大事にしていると思いますが、まずそれにとらわれないようにしたんです。ディープVネックだったり、服の枠の部分をほどいて、ゆとり分を出したり、とにかくほかの人と違うものを追求しています。そこからまたどういうふうに全体の雰囲気をきれいに醸し出せるのか、一般人の趣味に合うのか、そしてそこにたどり着いてから、着心地という要素を考えるようにしたんです。」

無限に広がる可能性
「よく好きなデザイナーって誰だと聞かれるけれど、実は特にいませんね。好きなデザイナーというよりむしろ"いいなあと思ったデザイン"はあったりしますが…雑誌なども特に参考にしていません。ほかの人のデザインを見てしまうと、それで頭の中にいっぱいになって新デザインが思い浮かばなくなりますから。自分独自の可能性が左右されてしまうんです。私の場合は、新しいアイディアやデザインは常に夢の中に出てくるのです。何かを思いついたら、夢を見ててもすぐ起きて図に描くんです。」

私にとってのファッション
「よく言われていることですが、ファッションは循環しています。昔流行したものが数十年後にまたはやります。それを基本に、自分なりの要素を加えていって構わないと私は思っています。私にとってファッションは"この一枚"、"この一足"というのではなくて、私がよくお客さんに提案しているように、ファッションは体全身のアンビアンス（雰囲気）を追求するものなんですよね。」

「ただ変わっている服を着るというだけではなく、その場、その時の状況に合った服を着ることももちろん大切です。私がデザインしている服は、パーティーで着ていけそうな、大人っぽさや高級感が持たせるような細かいところまで工夫しています。」