頻繁に訪港するので家人には意図を疑われながらも、毎回「今生
の名残」だからと偽りをいれ、香港通いを続けてきました。
何せ体調に不安を抱えている身なので、まるで「ウルトラマン」
(?)のように行動時間が限られております。
それゆえに、移動に体力を取られず、それでいて限りなく「自由
に、誰にも煩わされることのない場所」を求めてたどり着いたの
が、定宿に程近い「上環」の『楽茶軒』です。
さて思い起こせば、6〜7年ほど前の暑い盛りの6月、涼を求めて
偶々門をたたいた茶店が『楽茶軒』でした。初めの頃は香港人の女
性の方が、独特の表情で応接していたのですが、何度か訪ねるうち
に日本人の女性マネージャーに切り替わっていたのです。
奈良県ご出身の中田さんといわれる「中国茶」の師匠に出会い、
薫陶をうけ、深く啓発を受けたのです。
というのも彼女は、こびない、まったくこびない確固不退転の姿
勢で、緑茶、青茶、黄茶、白茶、黒茶、花茶の試飲を促し、こちら
の味覚の開発を促し、その幅を広げてくれるのです。
時間の許される限り中国茶を喫した後、「茶酔い」の身で、時に
トラムで、気候に恵まれている季節にはそぞろ歩いたりして、隣町
の西營盤(サイインプン)にある定宿にかえるのです。
宗匠に目覚めさせられた五感の広がりは、香港の旅に一層の喜び
を付け加えてくれたものです(2月9日付け)。
さて、当方は仙台から時折お邪魔しているTでございます。この4
月に訪港した際には、体調不良でお尋ねすることができず、心残り
でありましたが、記事の内容から、中田さんのお元気な様子、何よ
りでございます。
現在私は持病で今年2度目の入院中ですが、教えていただいた作法
を守りながら(いつものことですがお湯の加減が安定せず、中田さ
んに入れていただいたようには味わうことができませんが)、病室
でもお茶をいただいております。今日は、譲っていただいた「特級
鳳凰單欉」を喫してから、洗濯のために病院の裏手にある事
務所に
一時外出をしてこの「楽茶軒」の記事を発見、いま喜び勇んで書き
込んでいる次第です。
先週一旦退院した際、看護師室の皆さんへ、1月お邪魔した際に購
入した「開花茶・マジックティー」を御礼に差し上げました。喜ば
れたこと請け合いです。近々体調を整え、訪港した際には必ずや寄
らせていただきます。お元気で。
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