日本在住経験があるカナダ人女性デザイナーによる女性のためのバッグ。西洋と東洋のセンスが融合したデザインで、機能性にも優れています。
こんにちは、香港ナビです。香港はファッションブランドがこぞってお店を構える都市で、同じブランドが香港という小さな街に複数もの店を構えるというところでもあります。今回紹介するのは、カナダ出身で大阪に3年ほど在住経験のある女性デザイナー、アリシア・タンさんが立ち上げたファッションブランド、「Liucia」を紹介したいと思います。
デザインと機能性を両立
日本文化を良く知っているアリシアさん
アリシアさんは、カナダで高級ブティックを経営する母の影響でファッションに興味を覚え、お店を手伝いながらファッションのノウハウを吸収していきました。特にファッション関係の学校には行かなかったそうですが、それが逆にセオリーに縛られず柔軟な発想でデザインできることにつながったそうです。
今でこそ女性デザイナーが増えましたが、依然として男性が女性のバッグや服、靴をデザインしています。アリシアさんは女性ですから、女性が商品に何を求めているのかを良く理解した上でデザインしているので、「かゆいところに手が届く」商品に仕上がっています。例えば、ポケットの数や場所にもこだわっています。その上で、カナダで生まれ育った西洋の感覚と日本在住の経験から、西洋と東洋のセンスを融合したデザインとなっていて、ほかのファッションブランドとはちょっと違ったデザインや色使いが特徴となっています。つまり、デザインと機能性を両立させたモノになっています。
芸術をテーマにしたモールに入居
K11の外観。ハイアット・リージェンシーも入居
お店の場所ですが、2009年12月17日に尖沙咀(Tsim Sha Tsui)にグランドオープンしたばかりのショッピングモール「K11」の1/F(日本でいう2階)にあります。6フロアを使ったショッピングモールで香港初のアートをテーマとしています。「Liucia」のイメージやコンセプトに共感し、店を構えることにしたそうです。ですので、「Liucia」のイメージにぴったりということで店を構えることを決めたそうです。モールは、MTR尖沙咀駅からも徒歩1分のところという最高のロケーションにあります。実はここは約60階建の超高層ビルで、ハイアット・リージェンシー、1平方フィート3万ドル!! という値段もついた最高級マンションの名鋳(The Master Piece)と同じ建物です。ですので、モールの性格としてはアッパーミドルより上のブランドや高級レストランが数多く入っています。
店の外観
K11の入り口はイベントができるようになっているので、クリスマスや大晦日にはカウントダウンが行われていましたので、今後は買い物だけではなく、新しい観光スポットにもなりそうです。お店は、適度な落ち着いた雰囲気で大きなソファがあり、ゆっくりくつろぎながらじっくりと商品を選ぶことができるように設計されています。
大きなソファ。ボーイフレンドや旦那さんにリラックスしてもらうためでもあるそうです
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店の前のディスプレイ
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アメリカ製のシャンデリアを使って、天井の壁紙の美しさを引き出すようにしています
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さまざまなアイテムがならんでいます
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帯のデザインを生かしたクラッチバッグ
アリシアさんの真摯な着物への情熱に感動した日本人の方から格安で譲り受けたものだそう
「Liucia」を象徴しているのは、着物の帯を使った商品です。ここ数年着物を使った商品は多いですが、それは巾着袋に応用されたり、着物の一部分をバッグに取り入れたりするというのが主流でした。しかし「Liucia」では帯の柄そのものをフルに生かしたデザインになっています。帯はアリシアさんが日本に赴いて自ら買い付けをしているそうです。
チェーンが内蔵されているOバッグ(ObiのBagということから命名)シリーズは日本人よりも外国人から反応がよく、ヨーロッパ、アメリカだけではなく、ロシアのバイヤーがたくさん買い付けに来たこともあるそうです。
Oバッグシリーズは、チェーン内蔵の“リストレット(HK$1900)”、革のストラップにブローチがついた“レザーストラップ(HK$2700)”、最新作で長さが調節できるプラスチックチェーンのついた“ショルダークラッチ(HK$3360)”の3種類があります。
「1つの帯からどれだけ多くても5、6個のバッグしか作れません。帯をカットしていきますから、柄の部分を考慮しますと、それぞれの商品は実質的に世界で1つだけのものとなります」とアリシアさん。つまり、早い者勝ちということになりますね。
Oバッグシリーズのリストレット
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こちらは帯シリーズの新作のショルダークラッチ
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細部までこだわったデザイン
新作中の新作でまだウェブサイトにも載っていない「Kina」(HK$1890)というバッグは内側にポケットが5個、外側に3個の計8個もあるデザイン。オクトパス用、携帯電話用、メイクアップ用などバッグの中も整理しやすくなっています。容量もたっぷりあるので重くなりそうですが、ヤギの革を使って軽く仕上げているのも特徴です。わざとヴィンテージっぽく見せるようにしているレザーを使用するなど、細かい点にまで気を使っています。
「ミニ・カタリーナB」は、浮世絵にでてくる波からインスパイアされて製作されました。イタリア製のスウェードを使ったバッグで価格は5460ドルしました。そこで価格を抑えつつ、耐久性の高いキャンバスをつかったミニ・カタリーナB(HK$980)を12月末に発売。イタリア製スウェードと同じデザインと機能性を持ちつつ、1000ドルを切る値段になっているので、発売当初から人気商品になっています。特徴的なのはストラップで、手にかけても、肩からかけてもちょうどよい長さで、牛革を使い、手に持つ部分をちょっとだけ太くして持ちやすく、肩から掛けると痛みが走らないように工夫してあります。しかも、ストラップを編みこんでいるので、見た目はクールでありつつ、肩からの滑り落ちるのを防ぐ効果もあるそうです。それ以外にも、色使い、デザインが優れた商品がいっぱいあるので、写真をご覧になってください。
ミニ・カタリーナB。左がイタリア製スウェード、右がキャンバス
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浮世絵からヒントを得たデザイン
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ストラップにも持ちやすいように工夫がしてあります
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ミニ・カタリーナBの底側も鋲を使ったデザインが施されています
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キャロルというバッグ。肩から掛けるストラップ付(HK$1400)
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このバッグは青、黒、ピンクの3色
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人気商品の「スタッド・バッグ」(HK$2000)。すでに品薄状態
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こちらもイタリア製のスウェードを使ったポーチ(HK$3200)
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金色が美しいアンナ・ショルダーバッグ(HK$1650)
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リングは取り外し可能なシャーリーズ(HK$930)
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アクセサリーなども扱う“ライフスタイル・ブランド”
チャーム、ヘアバンド、ブレスレット、ネックレスといった小物、マフラー、ドレスやセーターといった服も扱っています。アリシアさんは「Liucia」はバッグとアクセサリーを中心としたファッションブランドですが、この店のようにファッション全体が楽しめる“ライフスタイル・ブランド”として女性をより美しく魅せたいと思っています」と話してくれました。
ハイヒールも日本と提携して販売
「Liucia」では日本にあるシューズのメーカーと提携して、AperireとB by Aperireというブランドのヒールを販売しています。Aperireのデザイナーとアリシアさんは長年の知り合いということもあり、デザインコンセプトを共有してバッグとヒールが同じイメージになるようにデザインするというコラボもしたそうです。
着物がテーマのジュエリーも
本物のダイヤやサファイヤが使われていて美しい鶴田さんの商品
それともう1つ、「Liucia」は香港在住の日本人ジュエリー・ファッションデザイナー、鶴田奈央子さんがデザインしたジュエリーも販売しています。鶴田さんは着物をテーマにしたジュエリーやドレスをデザインしているということで、同じイメージ、コンセプトを共有できることから「Liucia」で鶴田さんの商品を販売することになりました。
アクセサリーの数々。いろいろあって迷いそうです
いかがでしたか? 「Liucia」のバッグはすべて職人に手でつくられているので、機械によって何万個も作られるような大量生産している商品ではないそうです。1つの商品は数十個単位でしか製作されないので、売り切れた場合は、よほどの注文がない限り再製作されないそうなので、バッグ自体が貴重とことになりますね。「Liucia」のウェブサイトからでも同ブランドの商品が購入でき、世界中に発送しているそうです。外国人デザイナーが日本の文化を取り入れた商品ということで、非常に誇らしい気分で取材をした香港ナビがお伝えしました。