香港海事博物館

Hong Kong Maritime Museum 香港海事博物館

閉店・移転、情報の修正などの報告

海とともに発展したと言っても過言ではない香港。貿易の中心地としての歴史や諸外国との交流、船の発達、航路の歴史などをビクトリアハーバーの景観とともに学ぶことができます。

スターフェリーの発着する7号埠頭から見た海事博物館の外観

スターフェリーの発着する7号埠頭から見た海事博物館の外観

こんにちは、香港ナビです。今日ご案内するのは、香港でただ一つの船舶や海洋関係の展示を行う、香港海事博物館です。西洋と中国の貿易中継地として発展した香港。香港にとって古来から「海」は非常に重要な役割を果たしてきました。その発展の歴史を今に伝えるべく、2005年に赤柱(スタンレー)に開館、2013に現在の場所セントラルフェリーターミナルの8号埠頭にてリニューアルオープンしました。
旧スタンレー時代から比べると約5倍の広さになった海事博物館は4階建てで、そのうちA〜Cデッキ(日本の2階〜4階部分)を展示に利用しています。

セントラル中心部から続く長い歩道橋(行人天橋・フットブリッジ)から向かうと突き当りがスターフェリーの7号埠頭、向かって右に次の埠頭が海事博物館のある8号埠頭になります。

海事博物館への行き方

資料提供:香港海事博物館

資料提供:香港海事博物館

一番近いMTRは香港駅A2出口になりますが、観光で訪れた人には少しわかりにくい場合があります。
九龍側から来られる場合、スターフェリーでセントラルへ渡ればすぐ隣が海事博物館。

香港島の場合は中環フェリーターミナル行きの各路線バスで向かうか、MTR中環(セントラル)で下車、歩道橋(左地図ピンク色の点線)を歩いてくる方法が簡単かもしれません。
8号埠頭の途中には海事博物館と関係のある展示があり、博物館に行く前から船にまつわるイメージをかき立ててくれます。

香港初の海事博物館

陸橋からの入口

陸橋からの入口


人によっては聞きなれない「海事」とは、海に関する人間の営みに関する事柄で、船舶、造船、海運、海洋開発、漁業や海軍などを含み、「海事博物館」はその「海事」関連の展示をしている博物館です。

展示は大きく分けて3つ、船で交易が始まったころの初期の歴史から始まり、香港が普通の漁村から交易の中心地として発展した道のりなど、海事の歴史をメインに展示しているCデッキ、
船舶にまつわる、貴重な資料や文献、模型などとともに貨物船、タンカー、コンテナ船などの登場で、近代の海運業界がどのように変遷を遂げたかなどを学ぶことができるBデッキ、
船を操縦する上での知識、当時の通信技術や気象学、船を運転するシミュレーションコーナーなどがあるAデッキ、という構成になっています。
地上階に入口はないので階段などで上へ上がります

地上階に入口はないので階段などで上へ上がります

正面右側に博物館の入口

正面右側に博物館の入口

こちらの受付で入場料を払います。そのあと右側の階段を降りていきましょう

こちらの受付で入場料を払います。そのあと右側の階段を降りていきましょう

資料提供:香港海事博物館

資料提供:香港海事博物館

Cデッキ (C層) 古代の〜近代の歴史を学ぼう

照明は暗く、テーマにより色分けされている

照明は暗く、テーマにより色分けされている

中国や日本などアジア諸国と西洋を結ぶ大切な中継地点として香港が果たしてきた役割を、交易、船の発達、航路の歴史などのカテゴリーに分けて、展示されています。

特に中国南部の沿岸とその近海に焦点をあてながら、古来から現代まで時代の流れに沿って詳しく展示され、船に興味がある方はもちろん、歴史、現代の香港の貿易について興味のある方にとっても見ごたえのある内容ではないでしょうか。
香港観光協会のシンボルともなっているジャンク船の模型は、数もさることながら、とても繊密な作りで見入ってしまいます。

海賊・張保仔

Cデッキでの見どころは、香港近海を拠点にしていた実在の海賊・張保仔の物語がかかれてる「靖海全図」。全長約18mもあるため、一部しか展示できなかったものを新館に移転時にデジタル化し、スクリーン上で全編の閲覧を可能にしました。

19世紀初頭清朝の代表的海賊で、子分には貧乏人からの略奪を禁じるなどした事から、庶民からは貧しい人を救済した義賊として人気がありました。また、清朝に降伏した後に懲罰を受けるのではなく、武官として取り立てられられたことでも有名です。香港には長州島の「張保洞」をはじめ、張保仔に関わる史跡が多数残っています。
実物の絵巻物の反対側に巨大スクリーンがあり、そこに映し出されます

実物の絵巻物の反対側に巨大スクリーンがあり、そこに映し出されます

タブレットを使って拡大縮小もできてしまう!

タブレットを使って拡大縮小もできてしまう!

船にあった日常品はなんとなく日本のものに似ていました

船にあった日常品はなんとなく日本のものに似ていました

使われていたお茶碗など

使われていたお茶碗など

ナッツやスパイスなどの食品は壺で運ばれていました

ナッツやスパイスなどの食品は壺で運ばれていました

展示モニターでは時代ごとの航路が確認できます

展示モニターでは時代ごとの航路が確認できます

漢(BC206-AD220)の時代の航路。まだ西はインドまで

漢(BC206-AD220)の時代の航路。まだ西はインドまで

明朝(1368-1644)になると航路はとてつもなく広がっています

明朝(1368-1644)になると航路はとてつもなく広がっています

欧州との交易

青いエリアになると、17〜19世紀にかけてのイギリスをはじめとする欧州諸国との交易関の展示がはじまります。欧州の船の模型を見ると、中国の船との違いを感じられます。

そしてCデッキの最後には香港のビクトリアハーバーについての展示があり、まだ貿易港として発展するまえの姿を見ることができます。
欧州の帆船の規模がわかります

欧州の帆船の規模がわかります

これまた作りが細かい!

これまた作りが細かい!

さまざまな工芸品が中国で作られ、欧州へ運ばれました

さまざまな工芸品が中国で作られ、欧州へ運ばれました

阿片やお茶なども有名ですね

阿片やお茶なども有名ですね

絵の下にある展示モニターでは絵の詳細を拡大して見ることができます

絵の下にある展示モニターでは絵の詳細を拡大して見ることができます

欧州人の恰幅の良さについ笑ってしまいました

欧州人の恰幅の良さについ笑ってしまいました

航路図

航路図

一見、中国人向けに見られる陶器ですが、実は海外向けに作られたもの

一見、中国人向けに見られる陶器ですが、実は海外向けに作られたもの

ベストなども、刺繍の柄から西洋人向けに作られたものとわかる

ベストなども、刺繍の柄から西洋人向けに作られたものとわかる

香港・ビクトリア湾の変遷

Bデッキ(B層)右側 現代の海事について

一気に明るくなる展示会場

一気に明るくなる展示会場


Bデッキに上がる階段を上りフロアに出ると一気に明るいビクトリアハーバーと大きなレンズが目に入ります。第二次世界大戦以降から1989年に引退するまで香港の南東にある横瀾島の灯台で使われていた光源、その大きさと美しさに驚かされます。

ここからは、香港が世界に誇る港としての発展を知ることができます。貨物船、タンカー、コンテナ船などの登場で、近代の海運業界がどのように変遷を遂げたか、模型や豊富な展示物と共に詳しく説明されています。
船の保安についての展示

船の保安についての展示

大型船の大火災があった歴史をもつ香港

大型船の大火災があった歴史をもつ香港

コンテナ船模型の展示に圧巻

コンテナ船模型の展示に圧巻

蒸気エンジンのモデル

蒸気エンジンのモデル

多くのタッチスクリーンモニターにて展示を楽しめる

多くのタッチスクリーンモニターにて展示を楽しめる

実物と同じコンテナの中には、天井まで積み上げられたダンボール、そしてコンテナ積み上げゲームがありました。うまくクレーンを操ってコンテナを積み上げるというもの。思ったより難しくて、バランスが悪いと船が沈没しちゃいます。

海の上に立っている気分!? 

望遠鏡で対岸を覗いてみよう!

望遠鏡で対岸を覗いてみよう!

そしてBデッキの先端にあるハーバービューイングギャラリーがナビの一番のおすすめスポットです。双眼鏡を覗くと、対岸にある尖沙咀がよく見えます!

天気のいい日にこのベンチに座って、ぼーっとビクトリア湾の景色を眺めるだけでも十分の価値があります。

かつてのビクトリア湾の写真と比べると...

かつてのビクトリア湾の写真と比べると...


カーペットがビクトリア湾の図柄になっています。もともとからの陸地と埋め立てによる土地が色分けされているところも興味深いです。ビクトリア湾が以前と比べて、かなり狭くなっているのがわかります。

Aデッキ(A層) 航海に必要な技術について学ぶ

ブルーの色が海を感じさせます

ブルーの色が海を感じさせます

Bデッキの右側半分を回ったところでAデッキに上ります。Aデッキには航海には欠かせないツールの展示や通信技術を紹介。操縦室を体感できるシミレーションルームにモールス信号ゲームがあります。

モールス信号ゲームはモニターに表示されるサンプルに従って打ってみましょう。リズム感が悪いと…難しいかもしれない!と思ったナビでした。
操縦シミレーションは毎週土日と祝日の午後2時、2時45分、3時30分、4時15分に行われます。入口の受付にて申し込みが必要です。(12人/1回 30分間)
平日はガラスの外から眺めるだけですが、海上にいるような動画を見ているだけで、十分船に乗っている気になりました。

中国語の信号、多すぎて覚えられないのでは!?

中国語の信号、多すぎて覚えられないのでは!?

手旗信号の手帳

手旗信号の手帳

昔使われていた送信機

昔使われていた送信機

画面の指示にそって打ってみます

画面の指示にそって打ってみます

うまくできると、「よくできました!」と表示されます

うまくできると、「よくできました!」と表示されます

子供に大人気のエリアです

子供に大人気のエリアです

旧館から引き続き展示されている観音像の船首

旧館から引き続き展示されている観音像の船首

実際今現在の動きを見られるレーダー。ビクトリア湾内の船の動きが見られます

実際今現在の動きを見られるレーダー。ビクトリア湾内の船の動きが見られます

潮流、気流、気圧など、危険がいっぱいだった航海を成功させるためには必要な知識がたくさんあったことがわかります

潮流、気流、気圧など、危険がいっぱいだった航海を成功させるためには必要な知識がたくさんあったことがわかります

航海には欠かせないツールたち

航海には欠かせないツールたち

Bデッキ(B層)左側   客船と海の催事など

隣にある7号埠頭へ向かうスターフェリー

隣にある7号埠頭へ向かうスターフェリー

Cデッキから降りてきて左側のドアを入るとBデッキの左半分の展示がはじまります。主に旅客船についての展示からはじまり、海での催事や娯楽へと続きます。

香港といえばやはりスターフェリー。Bデッキ左側角からは目の前を通るスターフェリーが迫力満点!スターフェリーファンは必見です。
物だけではなく、人の移動をメインにした展示です

物だけではなく、人の移動をメインにした展示です

ベトナム難民が香港に来た当時の様子がうかがえます

ベトナム難民が香港に来た当時の様子がうかがえます

昔の豪華客船の広告。すでにクラス分けがあったんですね!

昔の豪華客船の広告。すでにクラス分けがあったんですね!

昔のパンフレットなど

昔のパンフレットなど

マカオに渡っていた船。

マカオに渡っていた船。

大きい球体はプロジェクターになっていて

大きい球体はプロジェクターになっていて

いろいろなインフォメーションが映し出されます

いろいろなインフォメーションが映し出されます

数分立ち止まって見ていると、とても面白いです

数分立ち止まって見ていると、とても面白いです

旧型の潜水服の横で記念写真!

旧型の潜水服の横で記念写真!

どのくらい重いか持ち上げてみましょう(こちらも子供に大人気)

どのくらい重いか持ち上げてみましょう(こちらも子供に大人気)

最後は特設展示をしているロングギャラリー

ナビが訪れた時はシーズンばっちりの「香港の台風」に関する展示がされていました。

フィリピンの北東に位置する香港は昔から台風が多く、大きな災害も少なくありませんでした。地震大国日本は地震に対して色々な防災処置があるように、現在香港には台風に対する防災処置があるのですが、そこまでに至った歴史的経験が展示されていました。(展示は2016年9月末までの予定)

併設のギフトショップとカフェ8

特設展示のロングギャラリーを抜けるとエントランスに戻ります。
レセプションの横には、たくさんのオリジナルグッズや書籍、おもちゃなどの雑貨が販売されています。

海事博物館を出て、歩道橋へまっすぐ歩くともうひとつのミュージアムギフトショップがあります。船や海の書籍や模型をはじめ、香港らしいお土産も揃うギフトショップです。

Maritime Museum Gift Shop

電話番号:3713 2500
営業時間:11:00 - 17:00 (月〜金)
11:00 - 18:30 (土・日・祝日)

Aデッキと同じ階には天井が高くて開放感溢れるカフェ8があります。NPOが運営しているカフェで、カフェ従業員に学習障害者を雇用し、社会とのコミュニケーションの中で仕事と生活経験を与える場になっています。
不定期でライブミュージックのイベントも開催されています。

Café 8

電話番号:3791 2158
営業時間:10:00-19:00

その他にも面白い展示がたくさん!

海の音を体験するコーナー

海の音を体験するコーナー

いかがでしたか? 今回は掲載しきれなかったスターフェリーの実物大プロペラの展示や海底調査船の模型、海の音のコーナーなどなど、楽しい展示がまだまだたくさんあります。

ナビは今回の取材で、その昔、遠い異国の世界を夢見て海にロマンをかけた人々の気持ちに思いを馳せてしまいました。飛行機やインターネットの発達で世界がどんどん身近に感じる現代ですが、香港の海の歴史を学ぶことで、あらためて世界の大きさを感じることができるかもしれません。以上香港ナビがお伝えしました。


記事登録日:2016-09-27

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2016-09-27

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