賽馬会創意芸術中心(JCCAC)

Jockey Club Creative Arts Centre

閉店・移転、情報の修正などの報告

温故知新の精神で、古い工業ビルが新しい芸術空間に生まれ変わりました。これからの香港アートシーンはここから始まります。

こんにちは、香港ナビです。昔は香港では軽工業が盛んで九龍を中心に工業エリアがたくさんあったのですが、現在はほとんどの工場が中国本土へ移転してしまい、以前工業ビルだった建物が取り壊されて新しく住宅やショッピングモールになったり、ダンススタジオなど工場以外の目的で再利用されるようになってきています。そんな中、工業ビル全てを芸術のメッカに変身させてしまうという計画が実現。まだまだ発展途上の若いアーティストから、既にビジネスとしても成功を収めているデザイナーまで、様々な分野で香港アートの未来を担う人々にオフィスやスタジオを提供してサポートしていくことが目的で作られました。9月26日に正式オープンしましたので、早速ナビも行ってきました!

その名も『賽馬会創意芸術中心(Jockey Club Creative Arts Centre)JCCAC』

MTR観塘線『石硤尾(Shek Kip Mei)』駅のC出口から偉智街(Wai Chi St)沿いにまっすぐ突き当りまで徒歩5分。その突き当たったビルこそ『賽馬会創意芸術中心(Jockey Club Creative Arts Centre)』、通称『JCCAC』です。香港政府、香港賽馬会慈善信託基金、香港浸会大学、香港芸術発展局、香港芸術中心が合同で出資し運営を行っています。
白田街(Pak Tin St)沿いの正面玄関に、以前の工業ビルだった面影を残す『石硤尾工廠大厦』という大きな名前がそのままにされています。
『石硤尾工廠大厦』は、1977年に建てられたというのですから、既に築30年の歴史のある建物です。香港の古い工業ビルの典型的建築スタイルはそのままに、計画から4年かけて新しく生まれ変わりました。吹き抜けだった中心部分にガラスを張って雨もしのげるようにし、オープンな中庭に変身させました。ここでは、様々なパフォーマンスが行われるようになっています。
9階建て、約110,000フィートの建物内には、124のアーティストやグループがアトリエを構えています。その70%は絵画、写真、陶芸などビジュアルアーツ系の芸術家、30%がパフォーミングアーツ系の芸術家です。JCCACは、アーティスト自身が作品を制作する場所であり、展示、発表する場所であり、またワークショップを開いて芸術を一般の人に広げていく場所でもあるのです。

全てが芸術空間!

建物の中は、全ての空間がアート作品で溢れているという感じです。廊下や階段の壁、部屋と部屋との間のスペースなどちょっとしたところが、作品の展示に利用されています。
オブジェなのか、はたまた椅子なのか?作品は、購入することもできるんですよ。(作者名や値段も記載されています。)
上からみるとこんな形のベンチも、そばまで行ってみると…

上からみるとこんな形のベンチも、そばまで行ってみると…

また違った面持ちで、座っている人まで作品の一部みたい。

また違った面持ちで、座っている人まで作品の一部みたい。

うーん、これは芸術なのか、ただのゴミなのか。見る人の感性が試される?? うーん、これは芸術なのか、ただのゴミなのか。見る人の感性が試される??

うーん、これは芸術なのか、ただのゴミなのか。見る人の感性が試される??

個人のアトリエとして使用しながら、作品の展示を兼ねているところも多かったです。アーティスト達と気軽に会話も交わせるので、作品についていろいろ尋ねるチャンスもありますよ~。
1階には、画材ショップや茶房、展覧室などが集まっています。 1階には、画材ショップや茶房、展覧室などが集まっています。 1階には、画材ショップや茶房、展覧室などが集まっています。

1階には、画材ショップや茶房、展覧室などが集まっています。

エレベーターの脇には、インフォメーションセンターがありますので、資料収集やわからないことはここで尋ねてください。

どんなアーティストが入っているの?

何人かのアーティストが共同でアトリエを使用しているところをよく見かけました。グループとして活動している場合もあれば、それぞれに独立してアトリエだけを共用している場合もあります。

仲間とアトリエを共有している独立したアーティスト陳美軒(Chan Mei Hin)さんは、糸を使ったアートに取り組んでいます。オーストラリアの芸術学校付属の香港校で学んでいる時、卒業課題に使う材料を探していて出会ったのが糸。お父さんが以前に繊維工場をしていたこともあって子供のころ様々な種類の糸が身近にあり、懐かしさとアーティストとしてのインスピレーションがこれだ!と導いてくれたようです。気の遠くなるような時間をかけて手で丸める作業を繰り返した過程は、まさしく作品名通りの『旅程Journey』だったという卒業作品 (写真の3つ)は、一番大きいもので50キロくらいあります。糸を織る、編む、結ぶという既成概念から取り外したところからアートの可能性を見出していく陳さんの今後の作品が気になります。

『Studio 803』は、3人の女性アーティストによるアトリエです。女性らしい布を使ったハンドメイドの小物や、漫画チックなデザインなどそれぞれの作品は現代的でとてもキュート。アーティストのひとりで主に絵画に重点を置く、張樺(Birch Cheung)さんは、フルタイムで別の仕事を持ちながら、制作活動を続けているそうです。ここには、様々なアーティストがいて刺激になるし、また作品を発表する上でも外から人が集まってくるので環境はベストだと語ってくれました。展示してある作品は、販売も可能です。

『小空間』は、カメラマンであり芸術家としても著名な水禾田の作品のアトリエです。
オフィスを切り盛りしているのは、東京の高輪プリンスホテルにある香港の茶荘『春風秋月』の前オーナーで、中国茶の専門家として日本のメディアにもよく登場しているというAndy Liさん。流暢な日本語で会話しながら美味しいお茶をいただきました。今まで香港には芸術を支援するような空間がなかったので、このビルはその第一歩としてかなり重要だということです。いろいろなアーティストが自然にコラボレーションできるし、コネクションも広がってお互いに相乗効果も期待できるとのこと。Andy さんは近い将来ここでお茶の教室を開くことも考えているそうですよ。芸術とお茶、これもまた『愉しむ』という意味で共通するところがありますよね。

マミーか?と一瞬どきりとしましたが、これも作品。よく見るとシュレッダーをかけた後の紙でできています。アーティストの陳麗雲(Movana Chen)さんは、自分が持っていた雑誌をシュレッダーにかけ、それを編み込んで作品を制作しているのです。もともとはファッションを勉強していたというだけあって、発想がユニークですよね。
編み込んで作成した作品を様々な年齢、性別、国籍の人に着せて写真を撮ったり、キャットウォークさせたり、ビジュアルアーツからパフォーミングアーツの垣根も越える演出で作品の展示を行うなど、注目を集めています。

『W合作社』はWallis,Winston,Winnieの3人の若い画家によるグループで、芸術の促進と教育活動に重点を置き、学校や地域の学生や子供たちが芸術に触れ合う機会を得られるような活動を行っています。また、他のアーティストとの多彩なコラボレーションも今後は展開していきたいとか。
アトリエの壁一面に施された絵は、三人の合作。アトリエは、自由に絵を描くことを楽しめる雰囲気で溢れていました。

『rubywooglass(紅宝工作室)』は、イギリスの大学でガラスアートを勉強し、去年香港に戻ったというRuby Wooさんのアトリエです。ヨーロッパで数々の賞に入賞した経験を持っていて、さすがにその作品からは、既に完成された風格すら漂っています。
美しいモダンな作品や、香港で育った彼女ならではのユニークなインテリアまで幅広く、ファンも確実に増えているようです。ハンドメイドのガラス細工のワークショップも開く予定があります。こんな素敵な作品が自分でも作れたらいいですよね。

『動芸(Dance Art)』は、1993年に設立されたプロフェッショナルモダンダンスカンパニーで、JCCACのオープンに伴い、ダンススタジオとオフィスをここに移しました。
カンパニーのパフォーマンスの他に、香港でいろいろな地域の文化大使として若者たちへのダンスワークショップやパフォーマンスを行ったりとダンス教育などにも取り組んでいます。

中国の伝統と現代のモダンなデザインをコラボさせて香港で人気のインテリアショップ『G.O.D(住好的)』が、デザイナーであり代表である楊志超(Douglas Yeung)のアンティークコレクションを飾った『G.O.D Museum』をオープン。
G.O.Dの原点ともいえる、60,70年代の香港人の生活感あふれるアンティーク、実際に使用されていた郵便受け、時計、ポスターなどが壁にぎっしり。また、コーラやジュースの空きビン、雑誌等のコレクションも展示されています。
店内では、お馴染みのグッズも販売されています。また、ゆっくり休んで見られるスペースも。

いかがでしたか?まだまだご紹介しきれない写真や絵画、陶芸やガラス細工のアトリエや展示室がたくさんあります。また土日祝日などには、アーティストのパフォーマンスや無料のワークショップ、展覧などイベントがたくさん用意されています。これから、ますますいろいろな展開が期待できそうですので、ナビも注目したいですね。ここで育った香港発のアートが世界を揺るがす時がくるかも!?以上、香港ナビがお伝えいたしました。

記事登録日:2008-10-16

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スポット登録日:2008-10-16

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