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香港の600年にわたる海防の歴史を知ってください

こんにちは!香港ナビです。香港島の東側、筲箕灣(サウケイワン)エリアの海側に位置する香港海防博物館をご紹介します。明の時代から現代までの、香港600年の海防史を保存し、展示するために2000年7月にオープンした博物館です。都市部からは少し離れた緑あふれるのどかな環境の中、人間が作り出したさまざまな遺物を実際に目にすることで、自分なりの歴史への発見をしてみませんか。

海防博物館の成り立ち
19世紀にイギリス軍により、鯉魚門(レイユームン)要塞と呼ばれる堅固な海防施設がこの地に作り始められました。海に囲まれている香港で、この要塞の目の前の鯉魚門海峡の幅はわずか500メートルと対岸と最も接近した地であるため、大陸側からの攻防において最重要の要塞として長く戦いの歴史を刻み続けてきました。1941年の日本軍との戦いでは激しい戦場のひとつにもなり、その爪痕を生々しく残しています。
当時建造されたものをできるだけ活かすかたちで改装整備し、20世紀最後の年に博物館として一般公開されました。香港歴史博物館から400以上の展示品をセレクトし、さらに中国大陸の博物館や個人のコレクションからも提供を受けています。肩の力を抜きリラックスした状態で見学して欲しいという願いもあり、34,200平方メートルの広大な土地には自然の緑があふれ、館内は光がふんだんに射し込む造りになっています。

館内の見学エリアは大きく3つに分かれています。チケットカウンターや受付を含むレセプションエリア【エリアA】、砦(Redoubt)と呼ばれる室内展示【エリアB】、丘の上から海辺までの遊歩道に砲台や魚雷発射エリアなどが展示された野外のヒストリカルトレイル【エリアC】です。ここでは、エリア別に展示内容をご紹介します。

【エリアA】

ゲートをくぐり敷地内に足を踏み入れると、チケット購入前だというのに、もう目の前に遺跡が現れます。火薬庫と表示のある煉瓦壁の内部には、1675年~1860年代までの10基もの装填砲が展示されています。
さらに坂をあがると巡航戦車や装甲車などが重々しく並んでいます。
ようやくたどり着いたメインエントランス内でチケットを購入し、入り口右側にあるエレベーターで8階まであがります。
エレベーターを降りると丘の上です。ビクトリア湾が一望できる渡り廊下を通り、砲台跡を見学しながら、エリアBへ向かいます。

【エリアB】

1887年に完成した当時の建物を使用した室内展示で、この博物館の核となるエリアです。2フロアからなり、1階が永続展示の常設展、2階がテーマごとに展示の変わる特別展となっています。

常設展は1から11までのギャラリーに分別され、明の時代、清の時代からアヘン戦争、イギリス統治時代、日本軍の占領、中国返還後の中国人民軍による香港駐軍まで、実際に使用された衣服や武器、兵器、写真や模型を交えて歴史を語りかけています。 このギャラリーは旧兵士房をそのままの形で使用しているため、全室ほぼ同じ広さです。
廊下は当時のまま。採光のための穴を見ることができます。

【エリアC】

緑が溢れる丘から海への坂を下る道すがら、要塞として使用された当時のままの姿かたちで残された11カ所の軍事遺跡を見ることができます。急勾配があるため、子連れの方、年輩の方は注意が必要です。また、歩きやすい靴で行くことをおすすめします。
崩れ落ちた砲手たちの軍営地。銃創もそのまま残っています。
海に面した各所に設置された砲台 海に面した各所に設置された砲台

海に面した各所に設置された砲台

貯水池、オイル池 貯水池、オイル池

貯水池、オイル池

1890年に設置された魚雷発射ステーション 潮の音が煉瓦壁に反響して、何かの叫びのように聞こえました。
※ ヒストリカルトレイルは天候により閉鎖されることもあります。
緻密に海防史を語る香港海防博物館は"楽しみに"行く博物館ではないでしょう。しかし、こんなに小さな香港がどんな歴史を経てこのにぎやかで活気溢れる街になったのか、リアルに語りかける展示品や遺跡によって、頭だけでなく心でも深く学べる博物館となっています。

見晴らしのよい小高い丘から眺める鯉魚門海峡は凪いでいて、陽の光を反射してきらきら光っています。空を見上げると鳶が3羽のんびりと旋回しています。黒光りする大砲の横で、そんな風景が今あたりまえのようにあるありがたさを実感した、香港ナビがお伝えしました。

記事登録日:2006-03-27

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スポット登録日:2006-03-27

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