お茶目なアワビの王子様は市場の上にいた!銖記はなんだか不思議なシーフード・レストラン。
こんにちは、香港ナビです。今回はアワビやフカヒレなどの高級素材を使った本格中華を街市(生鮮食料を売る市場)の中にある超庶民的大衆食堂で食べるというミスマッチが魅力の銖記をご紹介します。
主役は王子様
何が不思議かというと、とにかくこのアワビ王子の存在が変わっているのです。何でこんなところにいるの?と聞かずにはいられませんでした。
王子様がこの環境にいるのは、若者の氷川きよしが茶髪で股旅ものを歌うのと同じちぐはぐさなのです。でも、おふざけや受け狙いではなく、本人たちはかなりマジだというところも非常に似ています。ちゃんと修行を積んで実力があり、それなりに権威のある団体などから高い評価を受けているのであります。
王子様が獲った賞の数々。
世界厨皇国際烹飪芸術大師奨章
法国(フランス)厨芸大師最高栄誉金牌藍帯奨
法国(フランス)国際美食最高栄誉奨章
法国(フランス)国際厨皇栄誉金賞
法国(フランス)国際厨皇美食大奨
国際厨芸優異之星最高栄誉金奨
自慢話もなぜか嫌味がないのが王子様のキャラ。
賞がありすぎて書ききれないから名刺を作り直しするといってデザイン中の名刺を見せてくれた王子様。二つ折りになる予定なのだそうです。全部中国語で書いてあるので、外国人のお客さんも来るんだし、せっかくだから英語とかフランス語も追加したら?と言ったら、「英語苦手なんだよなー。」と恥ずかしそうに笑う王子様は素直でとってもかわいいのでした。
「ちょっと待っててね。」と言って戻ってきたら「これもあった方がいいよね。」と自らトロフィーを片手にポーズを取る、あくまで前向きな王子。 「日本の雑誌にも何度も取材されたよ。」とパウチッコした切り抜きを見せてくれました。ハッピーバレーは高級住宅地なので、芸能人などが多く住んでいます。「スターや富豪も食べに来るんだ。」と結構ミーハーな王子様。ホテルや高級大型レストランにいるよりこっちの方が特別で変わってるから気に入っているのだそうです。
メダルをぶら下げてニコニコする王子様。
さて、その正体は?
王子様の正体は陳松輝シェフ。18歳からこの道に入り、有名高級レストラン新同楽で修行し、アワビやフカヒレの高級素材の扱いを習得。広東語では「香港鮑魚王子」日本語で「アワビ王子」と雑誌などで紹介されています。
王子様のお手並み拝見。
新鮮な材料がそろっています。
なんといっても、まずアワビ。一番多い日で一日300個売れた日もあったとか。折りしもナビが取材に伺ったこの日、60個お持ち帰りのオーダーが入ったのでした。というわけで、特にアワビやフカヒレを食べたい時は予約を入れてから行った方がいいですよ。
人気メニュー
「このメニューも僕がデザインしたんだよ。」と王子様。派手~。 これはあくまでもナビが提案するオーダーのサンプルですが、たとえばこの4品を注文すると合計444ドル。4人でシェアすると、ひとり111ドル(レートにもよりますが、約1500円)で召し上がれます。これに白いご飯や飲み物を追加しても2,000円以内で収まるでしょう。
雲腿雞翅(フカヒレ・スープ)268ドル
お椀によそったところ。何杯でもお代わりしたくなる味。フカヒレでスープが見えないなんて、そんなのあり?の贅沢さ。
明太子鮮菇(シイタケの蝦のすり身詰め煮)60ドル
新鮮な海老を王子様が包丁でたたいてすり身にした手作りの味。ハート型の瓜もかわいいでしょ。
盈盈百花小藁菜 58ドル
香港版さつま揚げとでもいいましょうか。ちょっと違うのはすり身と衣の間に隠された湯葉の存在。
密椒薈華牛柳粒 58ドル
骨付きのステーキ肉からわざわざ肉を削いで細かく切った牛肉の柔らかさが、カシューナッツのポリポリした食感と相性ぴったり。
茶餐廳式ドリンクももちろんオーダー可。アイスミルクティーとホット・レモン水。
でも、せっかくだからやっぱりアワビ!
原隻滋補大鮑魚 時価 サイズによって値段が異なりますが、大体ひとつ550ドル~850ドルぐらい。
右の写真が切り口。食べ応え十分の厚さ。思わず目がウルウルするほど幸せ。 高級レストランで食べると値段はこれの2~3倍。安さの秘密は店の家賃分を負担しなくていいこと、生アワビを使っていること。干しアワビに引けをとらない出来にするために王子様が特に気を使っているのは、生臭さを取り除くことと、味を染み込ませて色合いを干しアワビのようにすることなのだそうです。
もっとあります看板メニュー
金牌鳳沙雞(皮パリパリのロースト・チキン)一羽150ドル 半分80ドル
これも一押し。パラパラになるまで揚げた香ばしいニンニクがチキンの味を引き立てます。
おまけ
お店にいた若いアルバイトの男の子がちょっと王子様に似ていたので、ナビのカメラマンが「この子は息子さんですか?」と聞いたら、「僕、まだ結婚してないよ。だからー、僕は王様じゃなくて王子様なんだってばー。」いやー、ごめん、ごめん。プリンセスに立候補したい方、ぜひ銖記に行って王子様の料理を食べてください。