上環の老舗「蓮香樓」の親族が近年開業した飲茶レストラン。ワゴンで運ばれる昔ながらの点心はもちろんのこと、新しい創作点心も人気。
蓮香居
こんにちは、香港ナビです。香港リピーターの間で根強い人気の老舗レストラン「蓮香樓」。テーブルが密接した店内で、地元の人々に混じって点心を食べる、香港ならではのディープな体験ができる貴重なお店です。今日ご紹介する蓮香居は、蓮香樓の姉妹店として2009年に西環にオープンしました。窓の外の光が入る明るい店内は、蓮香樓とは雰囲気が大きく異なるものの、長年蓮香樓で受け継がれてきた味とスタイルはそのまま。観光客向けの小籠包やマンゴープリンはないけれど、昔から庶民に愛されてきた素朴な点心が揃っています。
セントラルからトラムで15分
レストランは上環駅から徒歩10分。香港島を横断する路面電車(トラム)沿いにあります。乾物店がずらりと並ぶ干諾道西の「乾物街」の上環側の端に位置しています。一本上がった皇后大道西には、旧正月や中秋節には中国の伝統的な装飾品がずらりと並び、骨董品やモダンアートの個人ギャラリーが並ぶハリウッドロードへも歩いて数分。上環、西環方面の観光の合間の食事に抜群の立地です。
トラムの目印は角に建つイビスホテルの建物です
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お店の目の前のトラム停留所
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蓮香樓の姉妹店
上環の蓮香樓
19世紀後半に中国広東省で創業した蓮香樓。創業人が亡くなり、長年経営に携わってきた親族にお店は引き継がれましたが、2009年に突然、後継人の一人が外部のパートナーと共にオープンさせたのがこの蓮香居です。蓮香樓の姉妹店という触れ込みで、またたく間に人気店となりましたが、本家の蓮香樓は蓮香居の開業を事前に知らされておらず、姉妹店という話も寝耳に水だったそう。その後、数年間に渡って争った後、蓮香居は正式に蓮香樓の姉妹店と認められました。
蓮香のルーツを垣間見れる店頭販売
トラム道に面した入り口には、赤いリボンと提灯がついた大きな看板があがっています。まるで中国の時代劇に出てくる酒楼のようです。入ってすぐ左手には、中華風のクッキーや月餅、お茶などの販売を行なっています。実は蓮の実の餡を使ったお菓子を最初に販売したのは蓮香樓なんですよ。今となっては、蓮の実の餡は月餅の定番ですが、最初に売り出したときは斬新なアイデアとその上品な甘さにあっという間に大人気になったそうです。そして、もう一つこのカウンターで人気なのが、お店で実際に使われている茶器のセット。蓮の図柄が可愛らしいお茶碗をお土産にいかがですか?
席は自分で探す。相席は当たり前
2階と3階の2フロアがレストランになっていて、エレベーターで上がります。2階は毎日早朝6時から、3階は平日は11時から土日祝は8時から営業しています。2階は地元の人々でいつも混み合っており、観光客はなかなか入ることができませんが、点心を乗せたワゴンは2階と3階を行き来するので、どちらに入ってもメニューも値段も同じです。
早朝の朝飲茶の時間、正午前後の昼食の時間は非常に混雑します。時間に融通が利くなら11時頃に行くのがおすすめ。一般的なレストランでは、店員さんが空いているテーブルまで案内してくれますが、この店では自分で席を探さなくてはいけません。もし、空いている席がなければ人が座っているテーブルでもOK。古き良き香港の飲茶は相席が当たり前なのです。
ワゴン式飲茶を楽しもう
席に着くと、まずは何のお茶にするか聞かれます。好みのお茶をオーダーしましょう。お湯が入ったポットが来ると、お箸や茶碗をお湯で洗います。香港の飲茶の作法です。そして、テーブルに会計表が置かれたら飲茶のスタートです!
香港のほとんどの飲茶レストランでは、オーダーシートにチェックを入れて点心を注文しますが、この店では点心はワゴンに乗せて売られます。テーブルの合間をワゴンを推して歩く売り子さんたち。点心の名前を言いながら歩いています。広東語がわからなくてもOK。蒸篭を開ければ中に何が入っているかわかります。食べたいものが見つかれば、先ほどの会計表を店員に渡してハンコを押してもらいます。
人気の点心には人が集まります
人気の点心は歩いて探す
ずっと席に座っていても、食べたい点心が回ってこないことがあります。それもそのはず、人気の点心は厨房から出てきた瞬間に売り切れてしまうのです。だから、時には積極的に歩いて各ワゴンをのぞいてみることも大切。特にえび餃子、シューマイ、カステラなどはあっという間になくなりますよ。周りを観察していて、人が集まっているワゴンがあったら、とりあえず行ってみましょう。また、揚げ物のカウンターもあるので、そこをのぞいてみるのも忘れずに。席を離れて点心を探しに行くときには、行く先々でハンコを押してもらえるように会計表をもっていくこと。
どれもおいしい点心の数々
蘿蔔糕
しっかりもっちりとした大根餅です。甘みのある大根に干し蝦や中華ソーセージがアクセントになっています。蒸した後に表面を焼いているので、外はぱりぱり、中はふんわりと抜群の食感。点心の王道です。
煎釀三寶
街角の小食店の定番のおやつ煎釀三寶。ピーマン、なすびに魚肉を詰めて揚げたものです。一見脂っこそうに見えますが、しっかりと味がついた魚肉は、まるで上等なかまぼこを食べているような感覚です。
叉焼腸粉
甘い叉焼をぷるんぷるんの腸粉で巻いた定番の点心。しょうゆベースの甘いタレは日本人の、口によく合います。お店によっては、食感が滑らかではないお店もありますが、この店の腸粉は口の中でつるつるととろけていくのです。
馬拉糕
蒸しカステラの馬拉糕はこの店でも人気点心の一つ。ふんわりとしていながら、しっかりとした食感で甘いものが苦手な人でもついつい食べてしまうデザートです。
点心のお値段
いかがでしたか?香港に飲茶レストランは五万とありますが、飲茶発祥の地広東省で生まれて、100年以上も庶民に愛されてきた点心の味は他とは一味もふた味も違います。本場の飲茶を試したい人はぜひ試してみてください。以上、香港ナビがお伝えいたしました。