160年の伝統に裏打ちされたワンタン麺を食べてみよう!
こんにちは、香港ナビです。香港B級グルメの代表選手といえばワンタン麺ですが、その中でもちょっとハイソ(死語)なワンタン麺を食べたいと思ったら外せないのがここ、麥奀雲呑麺世家です。ワンタン麺の老舗なだけに、伝統に裏打ちされたワンタン麺を楽しむことができます。
お店はこんな感じ。
お店の中は至って普通の食堂、みたいな感じですね。けっこう清潔ではありますが。お店そのものは親しみやすい感じで、ハイソな感じはあまりしないです。このお店は、どうやら使っている食材がハイソなようです。
世家雲呑麺 HK$25
こちらの店の名物、雲呑麺(ワンタン麺)は、祖父が自ら発明し、代々そのワンタン、麺、スープの秘伝の味と技術が伝わっています。
おいしさの秘訣は、毎日魚市場で仕入れてくる蝦等の新鮮な食材のほか、麺やワンタンは最高級のものを使用していることだとか。例えばダシはこのカレイの干物からとっています。
見てください、A4の紙より大きいです。この干物の身を揚げて崩して使っています。
こちらが粉にしたものです。この粉をワンタンに入れると非常に美味しいとか。
ワンタンメンを実際にご覧ください!
見てください!澄んだ色のスープの中に、エビの肉が見るからにぷりぷりとしているワンタンがドーンとのっています。最高級の新鮮素材を使って作っているだけに、スープもワンタンも風味が豊か。しかもぷりぷりとしたエビの歯ごたえが最高です。
代々伝わる昔ながらの味とスタイルを頑として守っているからこそです。お椀のサイズが小さい気がしますが、このサイズはお店オリジナルサイズ。「もともとワンタン麺のお椀はこんなサイズだから、今もずっとこのサイズでやっています」とのこと。伝統の表れですね。ちなみにワンタン麺の大食い最高記録は13杯なのだとか!
京都炸醤撈麺(ジャージャー麺) HK$38
日本の京都風味というわけではありません、念のため。これは、ここ麥不(不の下に大)雲呑麺世家の初代にあたるおじいさんが発明したものです。広州の陸羽というところにいるとある老人を呼んで、作り方を教えてもらったのがきっかけだそうですよ。
食べてみると、甘辛みそと麺のマッチングが最高です!ちなみに、黄霑(1930~)というチャイニーズオペラで有名な俳優も、この京都炸醤撈麺を食べてから公演に向かっていたという逸品です。
蠔油蝦子撈麺 HK$38
これは茹でたての麺にエビの卵とオイスターソースがたっぷりとかかった、ごくシンプルながらも非常に味わい深いメニューです。エビの味がクセになりそう!ちなみにこのメニューは、雲呑水餃(ワンタンと餃子の入ったスープ・$28)と併せて注文しなければいけません。
蠔油芥蘭 HK$18
オイスターソースのかかった芥蘭(カイラン・中国野菜の意味)。ここのオイスターソースは芥蘭とのマッチングがよく、おすすめの逸品です。
伝統をしっかり守りながら、新しい方向性をも切り開く
ここ麥奀雲呑麺世家は、広州で創業した祖父の代から、現在三代目のオーナー麥志明(マッ・チーメン)さんへと伝えられています。まだ広州にいた1930年代、麥奀雲呑麺世家は広州に合計で8軒ありました。
ちなみに広州時代の店名は「池記」だったのですが、これは香港に来た時点ですでに使われていた(銅鑼灣のタイムズスクエアの向かいにあるあの「池記」です)ために、現在の店名にしたのだとか。奀という、珍しい字の意味は、「栄養不良」とか「やせっぽち」というような意味だそうです。広州の8店舗は、戦争によってなくなってしまい、そのために香港にやってきたのは1945年のことです。
1968年には、機利文街にある大牌トンに移転し、現在のお店に越してきたのは1989年のことですから、越してきてからもうすでに17年経っているというわけです。
ではここで3代目オーナー、麥志明さんの登場です。伝統あるお店の3代目として、これまで続いてきた伝統を守ることに熱心なのは言うまでもないですが、一方で時代の新しい動きに対しても常に敏感な人なんです。
Pocket PC Phone という、携帯電話機能つきPDAで常にメールチェックをしたりしている姿からも見て取れます。また彼は、伝統に裏打ちされたワンタン麺を、新しいツールとして用いようと試みています。そのひとつに、
イベントにおけるケータリングというのがあります。ケータリング先としては、「貝沙湾」(Residence Bel-Air)という高級マンションの展示会という実績があります。これは、麥奀雲呑麺世家が高級なB級グルメだから、高級なものとコラボレートしても十分渡り合えると判断したからだそうです。
また、今も何軒か支店があるのですが、これからの出店計画のなかには、なんとマカオのカジノも入っているとのこと。伝統に裏打ちされた「高級なB級グルメ」は、まさにこれからも「高級感」という共通項のもとに、積極的にコラボレートしていきたいとの事でした。
いかがでしたか?他よりもちょっと高級、それがここ最大の魅力でしょう。ぷりぷりしたワンタンははまること間違いなし・・・!? 以上、香港ナビがお送りしました。