蘭芳園

ランフォンユンLan Fong Yuen

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香港の庶民の味方、茶餐廳の先祖的な存在がここ!名物の「出前一丁」でおいしいカルチャーショックを受けてください!

こんにちは、香港ナビです。近頃日本であまり見られなくなってしまったレストランとして、定食屋さんがありました。カツ丼定食とか、レバニラ定食とかのような、おなじみのメニューが揃う庶民の味方。さて、香港に来ると、まさにそんな感じのお店が今もたくさんあります。そう、それが「茶餐廳」(チャーチャンテン)。もちろんレバニラ定食はないけれど、香港の庶民の大好きなメニューの数々が揃っていますので、一言で言うならまさに香港版の「定食屋さん」といったところでしょうか。でも日本の定食屋さんとは違って、今でもバリバリ現役なのが「茶餐廳」!そこで今回ご紹介するのは、中環(セントラル)でかれこれ50年以上の歴史があるという「蘭芳園」。50年以上の歴史がある、ってことは、つまり茶餐廳の草分け的存在ってこと。だから、おなじみのメニューの中にも、元祖ならではのこだわりが詰まってるんです。というわけで、ナビといっしょに元祖・茶餐廳の魅力に迫ってみましょう!

蘭芳園への道のり。

MTR中環駅D1出口からでて右に進み、最初の角を右折してそのまま進みます。

MTR中環駅D1出口からでて右に進み、最初の角を右折してそのまま進みます。

道路の反対側にZARAが見えたらそこで横断歩道を渡ってさらに進みましょう。

道路の反対側にZARAが見えたらそこで横断歩道を渡ってさらに進みましょう。

しばらく歩くとエスカレーターの乗り口にきます。ここからヒルサイドエスカレーターに乗ってください。

しばらく歩くとエスカレーターの乗り口にきます。ここからヒルサイドエスカレーターに乗ってください。

擺花街(Lyndhurst Terrace)と書かれた看板が見えたら、矢印に従って階段を下ります。

擺花街(Lyndhurst Terrace)と書かれた看板が見えたら、矢印に従って階段を下ります。

階段を下りたところに、緑色の大牌トン(ダイパイトン・トンの字は木へんに當)が見えますが、それが蘭芳園です。

階段を下りたところに、緑色の大牌トン(ダイパイトン・トンの字は木へんに當)が見えますが、それが蘭芳園です。

まずはお店に入ってみよう。

お店の近くにたどりついても、「蘭芳園はどこだ!お店がないぞ!」と思われる方もひょっとしたらいるかもしれません。それというのも、蘭芳園は50年近い歴史がある、と先ほども書きましたが、ご覧の通り最初に開業したときの「大牌トン」を今も調理場の一部として使っているからなんです。昔はだけでやっていたのですが、今はその後ろにちゃんとお店があります。また右に少し行ったところに別館まであります。
大牌トンの横の入り口からお店に入ってみると、決して広くはないですし、なんとなく古臭い感じですが、お店そのものは、その古臭さとは裏腹に(!?) かなり清潔なのがいいですね。お店の気合が伝わってくるというものです。
実際に、「蘭芳園の食事は質が高く、しかも衛生的ですから安心して食べられます!」と書いてあります。
入り口のそばには、番台があって、そこではなんとオーナーの林さん自らがレジ番をやっていました!
番台の上に乗っている額、これは「3週刊」という地元の週刊誌認定の「全港十大茶餐廳」の称号です。

林さんと蘭芳園 

林さんが現在の位置に蘭芳園を開業したのは1951年のこと。その当時は、外に出っ張っている大牌トンの部分しかなかったそうです。その当時は、戦争も終わり、ようやく平和になりつつあったものの、本当に貧しい時代だったので、今のようにガスなんかもなく、コンロから屋台まで全て手作りで作ってやっていたそうです。ちなみにその当時の香港全土の人口はたったの40万人。そんなわけで、一日の収入はHK$26しかなかったそうです。しかも大牌トンのライセンス料は借り物だったので、そのライセンス料が毎日HK$7も取られたそうです。ちなみに当時の給料はHK$30~40くらいだそうです。商売ができればいいほう、といわれるくらい、その当時の香港は貧しかったというわけです。
林さんと、現在の蘭芳園の主力選手、息子さん。

林さんと、現在の蘭芳園の主力選手、息子さん。

その当時のお客さんは、だいたいが労働者で、また朝市の品物を届けに来る運送屋さんとかが多かったそうです。
そのような時代背景にあって、いい加減なものを出している大牌?が多い中、林さんは一貫して素材と料理の質に最大限のこだわりを持っていました。そのおかげで、貧乏な時代にあって、ライバルとの競争に打ち勝つことができたというわけです。
現在のように、室内にも店を構えるようになったのは80年代に入ってからだそうです。今では別館までできるほどに成長した蘭芳園、やはり料理へのこだわりがポイントなんでしょうね。

滑らかさは、ストッキングの如し ~Smooth As Stocking~

蘭芳園の名を一躍有名にしたのが奶茶(ミルクティー)。ここの奶茶は、他のお店とは一味も二味も違ったこだわりがあります。「滑如絲襪」(滑らかさはストッキングの如し)と称されるミルクティーの作り方に迫ってみましょう。

單品 $13
茶葉は、セイロンを主とした、厳選されたものを使用。そして40分くらい煮てから、茶の内容物が沈殿してから漉します。これを繰り返して作ります。茶餐廳だと、普通は鍋に大きな茶漉しを入れて作るんですが、そうすると時間がたつにつれてお茶が濃く苦くなってしまいます。そこで蘭芳園では、お茶を小分けして、濃さを均等にするように工夫しています。だから最初から最後まで滑らかな味が楽しめるのです。ちなみに一つのポットで、おおよそ10杯分しかとれないのだそうです。
ここのミルクティーは、実は牛乳ではなく練乳を入れているんです。だから砂糖は使ってません。そのおかげで、苦味も和らいで自然な感じの味わいになっています。
茶漉しの素材にもこだわりが。使用しているのは、高密度のウール地でできた毛布。穴が小さい上に何重にもなっているので、茶葉からの細かい粒が出ないのです!それもまた滑らかさのポイントです!
もちろんミルクティーだけでなく、レモンティーもあります。
單品 $13
こんな風に、レモンを入れるのが香港流。お好みに合わせてレモンをつぶしてください。
蘭芳園こだわりのメニューをご紹介!
そんなわけで、選りすぐりの名物メニューをご紹介!ここのメニューは、今日の茶餐廳では当たり前のメニューになっていますが、ここ蘭芳園が元祖なだけあって、どれも他にはないこだわりを持った逸品です。

「斎藤」と発音してください。

「咖央西多士」単品$14 ドリンクティーセット$23
西の多士!?発音すると「サイトーシー」。これを略すと「サイトー」。なんだそりゃ、とお思いの方も多いかと思われますが、これは「西洋風トースト」、つまりフレンチトーストという意味なんです。といっても日本のそれとはずいぶん違います。まるで油揚げのような外観です。しかも中を見ると、普通はピーナッツバターが挟まれているところが、ここのはカスタードが挟まれています。このカスタードは、マレーシア風味のものだそうです。普通は、茶餐廳で食べる西多士というのはえてして日本人にとってはしつこい場合が多いのですが、ここのは食べてみると、カスタードの味がいい感じにマッチしていて、日本人にとっても食べやすい逸品です。というわけで、ご注文の際は、だまされたと思って「斎藤」と言ってみてください。ほとんど同じアクセントだから、通じてしまいますよ。

「猪扒包」單品 $14
これは香港風のカツサンド、というかカツバーガーみたいなものです。豚肉と、自家製(!!)のマヨネーズ、それにトマトが挟まっています。絶妙な揚がり具合のカツと、香港のものとしては珍しく甘さ控えめなマヨネーズ(そう、香港のマヨネーズは甘いのです)のマッチングがたまらない逸品です。くせになります。

いよいよ、茶餐廳の定番・セットメニューの登場です!

香港の茶餐廳には、定番というべきセットメニューがあります。これは、だいたいの茶餐廳にある、香港人にとってはおなじみのラインアップというべきものです。が、元祖たる蘭芳園の手にかかると、おなじみのメニューにも一味違ったこだわりを感じられる逸品となります。それでは、とくとご覧あれ!
・牛油方飽(バター食パン)&庵列(オムレツ)
茶餐廳のセットメニューではおなじみの組み合わせ。食パンは、香港では、こんな風に出てくることが多いです。中には、バターが塗られていて、イメージ的にはサンドイッチの具がないバージョンといった感じです。オムレツも、見ての通り日本のものとは違いますね。オムレツの中には細切りのハムやランチョンミートなどが入っています。ちなみに蘭芳園のオムレツは、卵を2個分使っているとのこと。これは他の店にはないこだわりですね。
ちなみにセットメニューでは、これに麺またはご飯ものが出てきます。麺の中には意粉(スパゲティ)や公仔麺(インスタントラーメン)なんてのもあるのが香港ならではですが、果たしてここ蘭芳園ではどんな麺がでてくるのでしょうか?

所変われば、「出前一丁」も「高級揚げ麺」!!

雞扒撈一丁(鶏肉フライと出前一丁のつけ麺) ドリンクセット$36(アイスは+$2)
「一丁」(ヤッテン)というのは、ずばり「出前一丁」のこと。「えーっ、インスタント麺なんかお店で出すのかよ!?」と思われる方も多いかと思いますが、しかしこれが香港ではごく当たり前。香港では、インスタントラーメンは揚げ麺の一種として扱われているからなんです。ちなみに、香港の麺では一番高価な「伊麺」(イーミン)も揚げ麺です。蘭芳園では、出前一丁以外の銘柄は使わないとのこと。なかなかのこだわりです。普通は、出前一丁以外の麺を使うのが一般的で、出前一丁にすると$2くらい余分にかかるんです。食べてみると、意外や意外、あまりインスタントじみた感じがしません!!ちなみに具がインスタントというわけではありません、念のため。しかも鶏肉の皮がパリッと焼けていて、しかも肉自体がほどよい柔らかさ。くせになります!
出前一丁のかわりに意粉(スパゲティ)もあります。さしずめ中華風スープスパゲティといったところでしょうか?

いかがでしたか?茶餐廳の先祖的存在だけあって、香港らしいユニークなメニューには、他とはまた違ったさまざまな工夫が凝らされています。ここの出前一丁シリーズはぜひ試してもらって、カルチャーショックを味わってもらいたいです。バリエーションも多いので、はまってしまったら滞在中にちょくちょく足を運ぶことになりそう!? というわけでいつも地元民でいっぱいの蘭芳園に、気軽に入って香港の庶民の味を実感してほしいと願う香港ナビがお送りしました。

記事更新日:2009-01-19

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    翠華

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主なメニュー

単位:HK$

イチオシ

咖央西多士

香港式フレンチトースト

単品 ドリンクなし
13
関連タグ: 茶餐庁 軽食 パン 気軽

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2006-03-10

スポット更新日:2016-02-10

チェックイン日
宿泊数
部屋数 部屋1 大人 子供

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