これぞ、香港の夜食文化を象徴するレストラン!夜遅くなればなるほど盛り上がる店内を仕切るシェフは、料理の鉄人なのです!?
こんにちは、香港ナビです。「24時間眠らない街」と形容されることもある香港ですが、そうなると香港人の胃袋の時間割も朝食、昼食、アフタヌーンティー、夕食そして夜食と日本の食習慣と比べるとずいぶん種類が多くなります。特に夕食や夜食は、仕事を終えて1日の締めくくりに仲間や家族と外食をする人も多いんですよ。そこで今回は隠れローカルグルメスポット「九龍城」にあり、週末の夜になると行列ができるというレストラン『城寨風味(センジャーイフォンメイ)』をご紹介します。香港の有名・著名人もお忍びでやってくるというこのお店は、東京の高級中華レストラン『聘珍楼(ヘイチンロウ)』で日本人シェフに中華料理を伝授していたという陽気なチーフシェフが腕をふるう、口コミ評判がとっても高いお店なのです。
九龍城といえば、一時は「無法地帯」とも呼ばれた九龍城砦や、世界一着陸が難しいといわれた啓徳空港があった街ですが、それも今は昔のこと。現在はすっかり様変わりして、地元の食通がやってくるローカル色豊かなレストランが集まる街となり、市街地から少し離れているにも関わらず多くの観光客が訪れる観光スポットとなりました。アクセスは、MTR旺角駅からならタクシーで10分ほど、ミニバスを利用しても終点の九龍城で降りれば大丈夫、意外と行きやすいエリアなんですよ。お店の前にも大きな看板が出ているから迷うことはないはず!
キッチンに潜入!
お店に一歩足を踏み入れると、右に日本料理店??というようなお刺身のカウンター。そして左側にはいけすがあります。日本料理はありませんが、お刺身と海鮮料理のメニューは、こちらでも人気なのです。
140席もある大きなレストランの厨房にはたくさんのシェフたちが元気よく働いていました。皆さん、とっても気さくで和気あいあい。彼らが作る料理だから、食事も楽しくなるはずですね。
名物の小豚の丸焼きは、なんと専用の大きな炭火の釜で丹精に作り上げる自家製です。丸ごと1匹は無理でも、レギュラーサイズならHK$68とリーズナブル。
モダンな店内
ワインレッドのカーテンや椅子で、ちょっとモダンで大人っぽいデザインの店内です。照明も明る過ぎず、ちょっと隠れ家的雰囲気。店内は少人数用から多人数用までニーズに合わせて様々なテーブルセッティングがされています。また、お忍びでやってくる有名・著名人のための個室や、カーテンで隣のテーブルと仕切ることができるようになっている席もあり、パーティーにもよく利用されているそうです。取材日も謝霆鋒(ニコラス・ツェー)の奥さん、張栢芝(セシリア・チャン)のお母さんがグループで来店していました。(この記事の1枚目の写真内、向かって左端の方です!)
こちらのお店、実は2006年にオープンしたのですが、現在のチーフシェフが訳あってお店を離れた後、2008年に一旦閉業しました。閉業後も、チーフシェフの味を忘れられない常連客たちからの、シェフの復帰とお店の再開を望む声がなくなることはなく、遂に常連客の熱いリクエストに応える形で2008年末にお店を再スタートさせたそうです。今はお店にも昔のような活気が戻ってきました。
ナビが取材で使用させていただいたグループ用の個室は、入口の床に古銭が一個埋め込まれていました。それだけではなく、丸いテーブルと真ん中の照明を合わせて見ると小銭の形をしているんです。これは商売繁盛の風水を元にデザインされたのだとか。他の個室にも別の風水のデザインがあります。風水を重視する香港ならでは、興味深いですね。
メニューの品数も盛りだくさん!
広東料理や四川料理などの中華料理はもちろん、海鮮料理、鍋料理などメニューの種類は豊富です。そして日替わりのシェフのお勧めやスペシャルメニューなど、いつ訪れても飽きさせないサービス精神旺盛なチーフシェフの心意気が伺えます!
中華クラゲの頭(Sauteed Jerry Fish)※メニューにはありません
前菜メニューで登場したのは、『シェフの本日のお勧め』で通常メニューには入っていません。
日本ではエチゼンクラゲとして知られている中華クラゲ。でもクラゲの頭の部分というのは珍しいんじゃないでしょうか?ナビも初めてです。こりこり、ぷりぷりの歯触りと、ごま油で仕上げた香ばしい風味が口に広がってとっても美味。お好みに合わせて、醤油や辛味もつけていただきます。
香燻鴨胸(Smoky Duck Breast) HK$38
人気のメニューの一つ。もちろん、シェフの自家製です。
シェフご自慢のスモークダックは、スモークとは思えないほど柔らかく肉厚です。日本風にアレンジしたマヨネーズにわさびを合わせた特製ソースを添えていただきます。
手拍小黄瓜(Cucumber Marinated in Vinegar with Garlic) HK$28
日本産のキュウリは、香港では高いんですよ~!にも関わらず日本のキュウリでしかこのメニューは作らない、とシェフが断言しているこだわりの逸品!?です。叩いてつぶしたにんにくとの和えもので、酒の肴にすると絶品です。
窩貼明蝦球(Puffs Filled with Shrimps) HK$72
フライの衣がパンのようにふかふかです。見た目はちょっと油っこいのでは?と思うのですが、プリッとはじけるような蝦の歯ごたえとフカッとした衣の歯触りが何とも癖になる、子供も喜びそうなメニューです。もちろん、タルタルソースも自家製!
四川口水鶏(Chicken in Spicy Sesame Sauce) HK$38
お店に来る西洋人に人気のあるメニューだそう。うーん、見ただけでちょっとお尻が痛くなるような??辛さのようですが…
唐辛子を避けるようにすれば、辛いものが苦手なナビでも大丈夫。(ホントは一緒に食べた方がおいしいのですが)鶏肉がとてももっちりしていて、こちらも酒の肴にサイコー。
明爐即焼乳猪(Roast Suckling Pig) 半分HK$208
わー、出ました、小豚ちゃん!ナビは共食いだって、誰か言ってません??結婚式やお祝い事には欠かせないメニューですが、普段はなかなか味わえないものです。
脂身の少ない、きゅっと身のしまった小豚の肉です。さすが自家製なだけあって表面の皮のかりかりっとした仕上がりと、出来立ての新鮮さが味をますます引き立てていました。
四川水煮牛肉(Poached Beef with Szechuan Style) ※メニューにはありません
またしても、四川料理で、メチャ辛そうですね~って、辛いもの好きならおいしそう~と書くべきなんでしょうが…(ナビは甘党です、すみません。)でも、辛いだけではなく、蝦醤(ハージョン)と呼ばれるエビのペーストを入れてじっくり10時間ほど煮込んだ秘伝の濃厚なスープなんですよ。もやし、ビーフンなど中にたっぷり入った具のメインは、牛肉。そのほか、魚をメインにしたものもあります。
沙爹粉絲蟹煲(Braised Crab and Vermicelli with Saute in Pot)※メニューにありません
大きな蟹が丸ごとドーンと、ビーフンの下に隠れていました。メニューには蝦を使ったものがありますが、今回は特別にシェフが蟹で作ってくれました。こんな風に、その日仕入れたネタによって、メニューが変わることも多々あるんですよ。
ここで遅ればせながら、「写真はダメ!」と日本語で照れていた、ビートたけし似の面持ちで、ナビを大歓迎してくれたチーフシェフ、レオ・チャンさんをご紹介します。美味しい料理で香港人の常連客を引き付ける腕前は、10年間東京の高級中華レストラン『聘珍楼(ヘイチンロウ)』で日本人シェフに中華料理を伝授していたというのですから、その実績で十分証明できますね。また、テレビ番組『料理の鉄人』で人気のあった中国人シェフ、周富徳氏とはお友達なんだとか。日本が大好き、日本人が大好きというだけあって、日本各地を旅行して培った日本料理の要素もプラスした彼の中華料理は、香港在住の日本人にも定評があります。料理の味だけでなく、自分が食べておいしいと思うもの、好きなものしか店には出さないという頑固な姿勢が伝わってくるレオさんの人柄もお店の人気の秘密です。
芥蘭煲(Braised Kale Lettuce with Ginger) HK$38
一種類の野菜だけの炒め物やゆで物も香港では欠かせないメニューですが、こちらも秘伝の蝦のペーストを使って、その場でアツアツの鍋で和えるという目にも耳にも鼻にも?おいしい料理です。
ご飯は一人用のおひつ?で登場。これは、日本で見つけたんだそうですよ。温泉に泊まったとき、おひつにご飯を入れて部屋まで持ってきてくれたのが印象的だったそうで、このアイデアが浮かびました。
香滑南瓜西米露(Sago Sweetly Soup with Punpkin)HK$18
これも、シェフがわざわざ日本産のカボチャを使って作る暖かいスイート。自然のカボチャの甘さを使って作るには、やはり日本のカボチャにこだわりがあります。ほかにも、アイスクリームやシャーベットなどがあります。
締めはやっぱりフルーツ!油ものや、辛め、濃いめの味付けの後には、さっぱりすっきりのフルーツは特別にジューシーでさわやかに感じられました!ごちそうさまでした!
いかがでしたか?今回は夜9時からの取材ということもあって、美味しい料理にポンポン舌鼓を打ちながら、賑やかな店内でナビもすっかり午前様。外国人学生のグループもいて、とても楽しいひとときを過ごしました。飽くなき食欲の香港の夜を、ぜひ美味しい料理とローカルな雰囲気で楽しんでください。以上、香港ナビがお伝えいたしました。