香港のなつかしのおやつが勢ぞろいした駄菓子屋さん。砵仔糕、白糖糕、龍鬚糖これぞ香港人のソウルフード。
こんにちは、香港ナビです。日本にも昔なつかしのおばあちゃんの味がありますが、もちろんここ香港にも存在します。そんな懐かしいおやつは駄菓子屋のような小さな店で今でも香港のいろんなところにあるのですが、観光客が行く街の中心地では、あまり見かけることはありません。今日は香港人の思い出の駄菓子の数々を集めたお店をご紹介したいと思います。それでは、レッツゴー。
銅鑼湾と湾仔の中間に位置する湾仔道(Wan Chai Road)は、朝から晩まで人も多く、車の往来も激しいにぎやかな通りです。この湾仔道沿いにある駄菓子屋さん、名前は「砵仔王」。キング・オブ・砵仔糕です。この店では香港内の有名な駄菓子を集めて販売しています。もともとは店名の通り砵仔糕だけを売るお店だったのですが、お客さんたちのリクエストに応えて、少しずついろんな駄菓子を追加していったそうです。
メイ・チョンさん。香港の懐かしい伝統の味を守り続けて生きたい、とのこと。
「今ではまるで香港の駄菓子博物館のようになってしまいました。実は私のおばあちゃんもこんな駄菓子をよく作っていたんです。昔から慣れ親しんで食べた味、私自身も大好きです。今は母と一緒にこの店を切り盛りしているんですよ」と店長のメイ・チョンさん。
香港の懐かしの駄菓子たち
1日の3000個も売れる名物「砵仔糕」
1個HK$4
ナビも前々からこの店の砵仔糕を食べたいなぁ、と思っていたのですが、仕事を終えて店の前を通る頃にはいつも売り切れ。今回念願の砵仔糕が食べられます!
味は日本のういろうに似ていますが、ういろうよりももっとモチモチとしています。これは「磨米漿」という製法で作られているからこそ出る歯ごたえ。「磨米漿」というのは、米を石臼で挽くことで、中国の伝統的なお菓子ではよく使われる手法です。今では臼で米を挽く手間を省くため、ライスフラワー(米粉)を使用している店も多いそうです。ライスフラワーを使用した砵仔糕は表面はとてもつるつる滑らかですが、砵仔糕独特のもちもち感は出ません。お客さんに渡すときは、2本の竹串を刺し、器用にお茶碗から取り出し、ビニール袋に入れてくれます。できたての砵仔糕はほっこりとした温かさ。
砵仔糕には「黄」と「白」の2種類があります。黄色がサトウキビ味、白がココナッツ味です。両方とも中には小豆が入っています。ナビのお気に入りは自然な甘みのサトウキビ味。小豆はつぶ餡のような甘さではなく、豆本来の素朴な味です。
常連のおじいちゃん。
「この店の砵仔糕はとてもおいしいから毎日来とるよ。香港で一番うまいんじゃないかなぁ。香りもいいし、柔らかくて甘い。わしは黄色も白色も両方好きだけど、今日は黄色気分だから黄色を選んだよ。」
白糖糕(バットンコウ) 1個HK$4
粥屋さんや古いレストランでは今でもたまに見かけることがある白糖糕。おじいちゃんやおばあちゃんたちに愛されている蒸しパンです。こちらも石臼で挽いた米の粉から作られ、白い方は氷砂糖で、黄色い方は麦芽糖で味付けされています。中国風蒸しパンで、こちらももちもちとした食感が楽しめます。
飛機欖/甘草欖(フェイゲイラム/ガムツォーラム)
3つ(9粒)HK$10
甘草、ハッカなど食べやすい薬草から作られたお菓子。50年代から70年代にかけて売られていました。この頃の映画やTVドラマにもよく登場しますよ。酸っぱいものや甘いものなど味はさまざまですが、どれものどの痛みを緩和してくれます。現在生産しているところはほとんどないそうです。このお菓子は3つ繋げて売られ、一つ一つの形がラグビーボール(欖球)の形に似ていることから「欖」と呼ばれるようになりました。
家の窓から飛機欖/甘草欖売りにお金を投げると、パチンコを使って窓に向かってお菓子を飛ばしてくれたそうです。そのため飛機(飛行機)と呼ばれることも。
籠の台になっているものは、当時飛機欖/甘草欖売りが使用していた竹の台車。
公利竹蔗汁
1本 HK$12(300ml)、HK$22(600ml)
上環にあるサトウキビジュースの専門店「公利」から仕入れているジュースは大人気。ジューススタンドでサトウキビジュースを販売している店は結構ありますが、蒸したサトウキビをジュースにする「公利」のような店は、現在香港には3店しか残っていないそうです。「公利」では毎日深夜にサトウキビを削り、朝一でサトウキビを蒸します。蒸したサトウキビは心臓にとてもいいそうですよ。色は濃い緑色で、味は意外とさっぱり、サトウキビの自然な甘さが口の中に広がります。暑い夏にはコールドで、冬にはホットを試してみてください。
香蕉糕(ヒョン・ジュウ・コウ)
1本20ドル、半分11ドル
もち米とバナナオイルから作られたお菓子。作る時の火加減の調節がとても難しいそうで、おいしくほどよい硬さに仕上げるには職人さんの経験と腕がものをいいます。バナナ好きな方はぜひ一つ試してみてください、ただし、本物のバナナを使用しているわけではないので、あまりバナナの味はしませんよ。
龍鬚糖(ロン・ソウ・トーン) HK$12
空港でも販売されている芸術的な飴菓子、龍鬚糖もあります。飴の原料は麦芽糖。中にはピーナッツと白ゴマが入っています。ほどよい甘さと繊細な舌触りが旅行客の香港土産としても根強い人気があります。
叮叮糖(ディン・ディン・トーン)
一袋 HK$5
叮叮糖という名前は、飴の塊を砕くときに、「ディンディン」という音が出ることに由来するそうです。まるで日本のポン菓子のようですね。これも麦芽糖から作られています。生姜、ハッカ、チョコレート、イチゴ、マンゴー、ココナッツ味があり、一番人気は生姜だそうです。残念ながら取材当日は既に売り切れ。とっても硬い飴なので、気をつけて食べてください。
麦芽糖夾餅(マッ・ンアー・トーン・ガム・ベン)4ドル1本/10ドル3本
麦芽糖をクラッカーではさんだシンプルなおやつ。昔から子供には大人気でした。
糖葱餅(トーン・チョン・ベン)
1つHK$4、3つHK$10
麦芽糖で作ったお菓子とココナッツパウダーを小麦粉で作った薄い皮で巻いたもの。サクサクとした食感。薄い皮は飴の甘みを和らげ、ココナッツパウダーを使用することで日本の駄菓子にはない南国風の味に仕上がっています。
摩羅蘇(モウ・ロウ・ソウ)
HK$8
老婆餅のように、冬瓜のアンが入っているお饅頭。日本人には食べやすい味です。
鶏蛋餅(ガイ・ダン・ベン)
HK$10
日本のタマゴボーロに似たおやつ。香港に来て子供のおやつがきれたときに買ってみては?
米通(マイ・トーン)
HK$10
日本のおこしに似た米菓子です。麦芽糖とたっぷりのピーナッツでコーティングされています。
いかがでしたか?同じアジアでも国が違えば駄菓子の種類も味も変わるのに、なんとなくなつかしさを感じるのはなぜでしょう?ぜひ、香港のお土産に香港のなつかしいおやつを買ってみてください。意外と日本のおじいちゃん、おばあちゃん世代には受けるかもしれませんよ。以上、香港ナビが湾仔よりお伝えしました。