1928年創業、イギリス海軍も通い詰めた老舗。現在も欧米人を始めとした多国籍なゲストでにぎわいワインも充実の本格的洋風レストラン。
こんにちは! 香港ナビです。今日ご紹介するジミーズキッチンは、創業がなんと1928年。「伝統ある…」という冠が必ずつく、あのペニンシュラホテル香港とほぼ同時期にオープンしたのですから、その歴史の深さがうかがえるというものです。何度かの移転を経たのち、1975年から現在の地に居を構えている中環(セントラル)店から、ジミーズキッチンの魅力をお伝えします!
Jimmy's Kitchenのジミーとは…
オーナーの名前かな? シェフの名前かな? と想像を巡らせていたところ、その答えは、「オーナーの友達の名前だよ!」と。なんでもオーナーの友人のジミーが、アメリカ海軍の兵士たちをターゲットにした洋食店「ジミーズキッチン」を香港仔(アバディーン)で開いたところ、これが大当たり。毎日目の回るような忙しさの中、かなりの儲けがでたそうです。それを見ていたオーナーが「同じような店を出してもいい?」とたずねたところ、あっさりとOK。名前もそのままに湾仔(ワンチャイ)に店を開いたということです。そもそもは、いわゆる「のれん分け」的に始まったものだったのですね。元祖ジミーの「ジミーズキッチン」はその後姿を消してしまいましたが、湾仔の「ジミーズキッチン」は、イギリス海軍の兵士の間で人気に火が付き、どんどんと規模を拡大。海軍が撤収したあともその評判が消えることはなく、今もなお欧米人をはじめとした多国籍なゲストでにぎわう店となっているのです。ジミーの「ジミーズキッチン」とジミーじゃない「ジミーズキッチン」。ちょっと話が複雑ですけれど、店名にはそんな由来があるのでした。
荘重な雰囲気のあるドアを開けると、磨きこまれた柱が黒々と光るホールが広がります。等間隔にハイチェアが並ぶバーカウンター、磨きこまれたグラス、テーブル席に掛けられたクロスはシミひとつありません。受け継がれてきたしきたりに倣ったセッティングで、ジミーズキッチンの「質」に期待してやってくるゲストたちを待ち受けます。ダークトーンなライトと、壁に飾られた古き良き香港を切り取った写真たちが、伝統をさらに引き立てているようで、自然と背筋が伸びてきます。
人気メニューをご紹介します!
ジミーズキッチンは、一般的に「洋食店」と称されていますが、そのメニューは実に多彩。本格的なインドのマドラスカレーや、ウエスタンスタイルのステーキ、シーフードグリルなど、それぞれに専門のシェフを置いて提供しています。
Crabmeat Cocktail HK$95
たっぷりのカニの身をオリジナルのマヨネーズドレッシングで和えました。油分が控えめでさらっとしたマヨネーズドレッシングが、カニの甘味を引き立てています。添えられているレモンをしぼれば、さらにさっぱりとした風味になります。
Prawn Madras HK$168
インドのマドラス地方(現チェンナイ州)に伝わる伝統的なカレーです。大きめのエビをグリーンピースと共に特製のカレーペーストで炒め煮したものです。強い刺激はなく、食欲をそそるように鼻孔をくすぐるスパイスの香りがたまりません。別添えのチャツネ風リンゴペースト、レーズン、ナッツなどをお好みで添えていただきます。マドラスカレーの具はエビのほか、魚、貝柱、ダック、チキン、ラムなども選ぶことができます。
Veal Cordou Blea HK$178
仔牛肉を叩き柔らかさをだしてから、パンフライしました。おろしたてのパン粉でサクサクに仕上げた衣にバターソースと、黄色い布に包まれているレモンをたっぷり絞っていただきます。外はサクッ、中はしっとりジューシーなカツレツです。
Pigs Knackle HK$168
豚の膝関節周辺の肉をローストしました。ブレンドしたスパイスをすりこんで臭みを取り、じっくりと火を通します。骨のところから、きれいに肉がはがせるのは、鮮度がいい証拠です。皮の香ばしさとともに、ジューシーな肉も存分に味わえます。
生のオイスターも提供しています。入荷は日替わりですが、その日に入ってきたオイスターの産地をボードに提示しています。1ピースから注文できますので、前菜としてワインといただくのもいいでしょう。
そのワインですが、常時60種類がバーカウンターうらのワインクーラーに保管されています。フランス、イタリア、チリ、オーストラリア、カリフォルニアetc、あらゆるワイン産地から厳選した品を取り寄せて提供しています。
スタッフの質にもこだわっています
こちらはウエスタンのエグゼクティブ・シェフのパトリックさんです。個性的でありながらも各国のオリジナルに忠実な味のメニューを作り出そうと、日々研究に余念がありません。
スタッフの入れ替わりが激しい香港において、こちらの従業員、特にホールを取り仕切るスタッフには長年勤めている「ジミーズキッチンのプロ」もたくさんいます。よりよいサービスでもっと店を愛してもらおうと、隅々までホールを立ち回り目を配っています。そんなスタッフと店の味に惚れ込んで、1964年から通い詰めている常連客もいるのだとか。効率を重視しがちなレストランが多い中で、プライドをガツンと見せてくれるのは老舗ならではですね。
輝くカトラリーがプレートに触れる軽い音や、ワインの栓を抜く音。まさに大人のための空間と言った感じのジミーズキッチン、いかがでしたか? カジュアルで香港的なアレンジの加わった「中華洋食」も時にはいいですが、本格的な味が恋しくなったら、ぜひ老舗ジミーズキッチンに足を運んでみてください。以上、やわらかなステーキの味に感激した香港ナビがお伝えしました!