すっかり観光名所のひとつとなったヒルサイド・エスカレーター。この付近にはSOHO以外にも見どころ、食べどころなどがたくさんあるんですよ!
ネイホウ!香港ナビです。
セントラルの観光名所のひとつとしてすっかり定着したヒルサイド・エスカレーター。世界一長いと言われているだけでなく、途中には香港を代表する国際美食エリアあるSOHOを通過するとあって、連日多くの観光客たちで賑わっています。でもこのエスカレーター、見どころはSOHOだけじゃないんですよ。途中の道それぞれに有名なお店や観光スポットがあったり、ここから少し足を延ばすだけで名所に行くことだってできるんです。どうせエスカレーターを上るなら、ここを拠点として周辺の見どころ、食べどころを一気に巡ってみてはいかがですか?
そんなわけで、今回はこのヒルサイド・エスカレーターを利用したセントラル攻略のヒントをご紹介します。「香港の歴史街道めぐり」をはじめとした過去のナビ記事と合わせて読めば、セントラルエリアを効率よくほぼ完全制覇できちゃうかも!?
●ヒルサイド・エスカレーターへの手前から散策開始!
旧・中環街市の外観
■□■ 中環街市(旧セントラルマーケット)■□■ヒルサイド・エスカレーターに行く前に、ぜひ立ち寄って欲しい場所が中環街市。かつて中環周辺に住む人たちの食を支えていた市場です。1858年から現在の場所に位置し、その後は何度かの改築を重ねて今の姿になったのは1939年。日本軍が香港を占領していた際には一時、中央市場と改名されたそうです。また香港で初めて女性用公衆トイレが併設された場所でもあるとか。2003年に街市としての利用が終了した後は政府による取り壊しが予定されていましたが、香港市民の反対を受けて歴史建築物3級に指定。その後は、現存の建物を文化活動や市民の憩いの場として再利用するプロジェクトが計画されています。
(出典:ナビ記事「香港の歴史街道めぐり 上環(2)」)
【旧セントラル街市へのアクセス】1. MTR中環駅C出口を出ます。
2. 正面にあるトラムの走っている通りを左に進みます。
3. 5分ほど歩いた正面にある白い建物が旧街市です。恒生銀行の正面にあります。
現在のところ、建物は通路部分だけしか解放されていないので昔の様子を知ることはできませんが、それでも外部や随所に当時の面影が残っています。通路部分は「オアシスギャラリー」と名付けられ、ミニギャラリーとして一般に開放されています。
●士丹利街、威靈頓街、閣麟街
エスカレーターに乗ってすぐに見えるのが
士丹利街(Stanley St)、
威靈頓街(Wellington St)、そしてエスカレーターに沿って走る
閣麟街(Chocrane St)の3本の通り。洗練されたイメージが強いセントラルですが、このエリアは昔ながらの古い建物が多く残り、庶民的な雰囲気が色濃く残っています。
それぞれの道にはわずかながらに特徴がありますが、いずれにも共通しているのが有名な庶民派飲食店や老舗のお店が多いこと。まずはそれぞれの通りの特徴と、どんなお店があるのかを見てみることにしましょう。
■□■ 士丹利街(Stanley St.) ■□■
今はその名残はすっかりありませんが、かつて孫中山が1900年代に清朝に対する革命活動とゆかりのある通りだったとか。その後、1950年代になると多くの屋台が集まった屋台通りとして栄え、わずか350メートルほどの道に40~50の屋台があったそう。現在ではわずか数軒を残すのみとなってしまいました。
◎主なショップ、レストラン
■□■ 威靈頓街(Wellington St) ■□■
1815年のワーテルローの戦いでナポレオンを破ったイギリスの軍人だった初代ウェリントン公爵の名前が付けられたこの通りは、セントラルのオフィス街が近いことからそこで働く人たち向けに文房具屋、洋服や美容関係、ヘアサロン、食堂などのお店が多く集まっています。また、鏞記酒家、翠華餐廳、麥奀雲吞麵世家や昔ながらの茶樓である蓮香樓などの有名飲食店があるのもこの通りです。
◎主なショップ、レストラン
■□■ 閣麟街(Chocrane St) ■□■
比較的古い建物が多く残る通りで、また老舗のお店もいまだに何軒か残っています。エスカレーターに沿って延びていることから、建物の上層階に目を引く広告がたくさんあるのがユニーク。またこの通りは1本上の擺花街を超え、荷李活道(ハリウッドロード)までつながっています。特に擺花街の先のエスカレーターの下のエリアはスタンド形式の飲食店が数店あり、週末になると夜遊びに繰り出す多くの人たちで大賑わい。ちなみに現在、家具・雑貨店の「Alminium」が入っている白いビルは、かつては多くの映画やテレビドラマが撮影された場所でもあり、外観はそのままに改修工事がなされ今に至っています。興味のある人はぜひご覧ください。
◎主なショップ、レストラン
●結志街、擺花街
■□■ 結志街(Gage St) ■□■ヒルサイド・エスカレーターからつながる道の中で、唯一といっていいほど庶民的な通りが結志街。ここは肉屋、魚屋、八百屋などが並ぶマーケット通りで、周辺に住む人たちでいつも活気に溢れています。また20世紀の初め、革命の先鋒であった楊衢雲が創立した香港革命基地である輔仁文社があったのもこの通りです。なおこの周辺は再開発エリアに指定されているため、この庶民的な景色が見られるのも時間の問題かもしれません。
■□■ 擺花街(Lyndhust Terrace) ■□■ここは、その昔は宝飾店やチャイニーズオペラの衣装を売る店が多かった道でしたが、今は1軒も残っていません。なおここに来たらぜひ食べて欲しいのが、かつてパッテン総督が世界一おいしいと絶賛した「泰昌餅家」のエッグタルト。1個から気軽に買えます。またここは映画「スパイダーマン」のロケ地として使用されたほか、香港の有名人が所有する店が多いことでも有名です。
◎主なショップ、レストラン
●荷李活道、士丹頓街、伊利近街、堅道 【SOHO(蘇豪)エリア】
世界の料理が味わえる香港屈指の美食エリア「SOHO(ソーホー)」。その語源は
South
of
Hollywood Rd.つまり、この荷李活道から南側のエリアを指します。その始まりは1軒のネパール料理レストランと言われており、セントラル地区を代表するエンターテインメントエリア蘭桂坊(ランカイフォン)からほど近く、また周囲には多くの西洋人が住むことから、レストランの数が次第に増え、またたく間に今のSOHOに発展しました。今ではその規模も拡大し、その山側にある士丹頓街、伊利近街を含む堅道周辺までがSOHOと呼ばれています。
道路にはこんな標示も。あなたは見つけられるかな?
■□■ 荷李活道(Hollywood Rd.) ■□■このハリウッドロードは、東に進むとランカイフォン、そして西に行くと文武廟をはじめとした歴史建築が多く残る上環、西環へとつながっています。香港がイギリス領になった当初は、香港島でいちばん最初にイギリス建築の建物が建てられたほど重要な道で、その名残はエスカレーターのすぐ横にある旧セントラル警察署跡からもうかがうことができます。ちなみにアメリカのハリウッドとはまったく関係ありません。
またハリウッドロードはアンティーク通りとしても有名で、西側には数多くの骨董品店が軒を連ねています。その途中にはかつて泥棒市として知られていたキャットストリートもあるので、古いものが好きな人には絶好の道といえるでしょう。
なおハリウッドロードと垂直に交差する小道は、近年おしゃれな店が数多くオープンしています。さらにそのすぐ近くには昔ながらのディープな飲食店が残っているなど、古さと新しさが混在する興味深いエリアでもあります。
◎主なショップ、レストラン、見どころ
■□■ 士丹頓街(Stauton St)、伊利近街(Elgin St)【SOHO】■□■ヒルサイド・エスカレーターの最大の見どころ(食べどころ?)とも言えるのがこのエリア。これらの通りのほかにも、士丹頓道と縦に交差する
卑利街(Peel St.)や
些利街(Shelly St)を含めた周辺には、中華料理や日本料理はもちろん、イタリア料理、スペイン料理、メキシコ料理などをはじめ、ネパール料理や地中海料理などの珍しいレストランが数多くひしめきあっており、近くに住む住民や香港人、多くの観光客たちで夜遅くまで賑わっています。散策ついでにここで腹ごしらえするのもいいかもしれません。
レストラン以外にも、昔から営業している中国陶器を売るお店や小さいながらも古い廟などがあるほか、最近ではおしゃれな雑貨店やセレクトショップ、ブティックなどもオープンし、食事をする以外でも充分に楽しめます。また士丹頓街を西に進むと、今香港で人気のスポット「PMQ」があるのでぜひ足を運んでみてください。
◎主なショップ、レストラン、見どころ
●堅道、羅便臣道
孫中山記念館などへは、堅道から行くのが便利。
■□■ 堅道(Caine Rd) ■□■人でごったがえしていたSOHOとはうって変わり、堅道から先は徐々に住宅街に入っていきます。とりたてて堅道沿いはこれといって訪れる場所はありませんが、この道を西に進んで行くと「孫中山記念館」「香港医学博物館」に到達できます。これらの博物館周辺は坂道や階段が多く、ほかのルートを使うとかなりきついので、エスカレーターで堅道まで上り、あとは道に沿って進むのがいちばん楽かもしれません。
◎主な見どころ
SOHOの延長で、この周辺にも数軒お店やレストランがあります。
■□■ 堅道~羅便臣道(Robinson Rd) ■□■このエスカレーター沿いで最後の見どころスポットがあるのがこの堅道と羅便臣道の間です。その見どころは2ヵ所ありますが、いずれも堅道~羅便臣道のエスカレーターの真ん中で一度下りたほぼ向かい同士にあるので迷うことはありません。ただしこの周辺は既に住宅エリアなので、くれぐれも住民の迷惑にならないようきちんとマナーを守って見学してくださいね。
◎主な見どころ
■太子臺(Princes Terrace)
かつてフランス系の教会があった場所の跡地で、周辺とは一線を画した独特な雰囲気が特徴です。中にはレストランなどもありますが、現在は私有地になっているので見学や撮影する場合は大声を出したりしないようにしてください。
入り口には、かつての教会の写真が飾られています。
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ここから先は私有地ですので、見学は節度を持って。
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■回教清真禮拜堂(Jamia Mosque)
1849年に香港でいちばん最初に建てられたモスクで、1915年に改築されました。建物は美しいペパーミント色の長方形で、現在でも当初の塔がそのまま残っています。また周囲の美しい装飾や窓は必見です。香港には約22万人のイスラム教徒がいると言われ、そのうち約3万人が中華系、12万人がインドネシア人、そして残りはパキスタン、インド、マレーシアなどとされています。ちなみに香港にある5つのモスクのうち、最大のものは尖沙咀のイスラム寺院で、約3500人が収容可能です。
●羅便臣道、干德道
■□■ 羅便臣道~干德道(Conduit Road) ■□■羅便臣道の1本先、干德道でヒルサイド・エスカレーターは終点。このエスカレーターはあくまでも周辺に住む人たちの利便性のためにつくられたものであるため、最終地点まで上ってもそこにあるのは住宅だけです。しかし、このエリアはミッドレベルと呼ばれる「超高級」住宅街。明らかに建物のつくりも、雰囲気もまったく違います。せっかくここまで上ってきたのですから、そのハイクラスの人たちの生活ぶりを想像しながら、周囲を散策してみるとおもしろいかもしれません。
◎おすすめの戻り方ヒルサイド・エスカレーターは朝10時以降はすべて上り運転。したがって下る場合は基本的に来た道をそのまま徒歩で戻ることになりますが、「それじゃあおもしろくない!」という人はここからさらに周辺を観光してみてはいかがですか。この終点の道を左に進んでいけば徒歩20分ほどで香港動植物公園、ピークトラム乗り場などにたどり着くことができます。そのほか3番のミニバスに乗ればMTR中環駅やIFCのある香港駅にも行けます。
◎主な見どころ
いかがでしたか?
古くて新しいエリアであるセントラルは、今回紹介したお店や見どころ以外にもまだまだご紹介したい場所がたくさんあります。しかしいかんせん坂道や階段が特に多いこの周辺のこと、思った以上に体力を消耗したり、道が複雑でうまくたどり着けないことも・・・。そんなときこそ役に立つのがヒルサイド・エスカレーターです。坂を上るのを最小限に抑えられるだけでなく、主要な道にもらくらくアクセスできてとても便利。上手に利用すれば時間も体力も節約でき、その分余計に多く香港を楽しむことができますよ。一度地図とにらめっこして、うまくプラン作りをしてみてくださいね。
以上、香港ナビがお伝えしました。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2007-04-19